短編部屋二号館
□shade
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激しい雨音で目が覚めた。午前五時の部屋は、外の街灯の青白い光で仄かに照らされている。
ぼんやりと薄明るい部屋に、途切れることのない雨音。今日はいつにも増して目覚めが悪い。
憂鬱な夜明けだが、とりあえず枕もとの眼鏡に手を伸ばし、それをかけながら起き上がった。
ベッドの上に立て膝で座り、膝を抱えてみる。湿り気味のひんやりした空気が肌を撫でる感覚が、落ち込み始めた気分を少しだけ落ち着けてくれた。
このところ、よく眠れない日が続いている。最近は毎朝、とんでもない時間に起きてから再び眠ることを繰り返しているのだ。今日はこれでも遅い目覚めだが、だからといって快眠できたわけでもない。
一人きりの部屋には、激しい雨音だけが響く。誰もいない空間は居心地よくもあり、虚しくもあった。
一人だからといって虚しく思う必要はどこにもない。けれども、気づくと自分が一人でいることを憂鬱に思っているときがある。それがまさに、こんな朝だ。
無意識に自分の髪を掴みながら、小さく嘆息する。
今日は休日だから、早起きする必要はない。やることはないし、あったとしても何もやる気がないから、このまま一日膝を抱えて過ごそうか。
僕はどうして、ここに存在しているのだろう。本当は誰かの手違いで間違ってここにいるような、そんな気がする。
仕事仲間が嫌だとか、そういう訳ではない。むしろ、だからこそこんな考えをしてしまうのかもしれないのだが。