クラウドはマリンとデンゼルに挟まれて、寝る前にベッドで絵本を読んでいた。
「そしてお姫様と王子様はいつまでも幸せに暮らしました、メデタシ、メデタシ・・」バサリと本を枕元に置いた。
マリンは眠るどころか半身起こして
「ねえ、クラウド、昔話ってみんなここで終わるよね。本当にちゃんと幸せになってるのかな?」と聞いてきた。
デンゼルの意見では
「幸せになるに決まってるよ。だって悪者は退治されたんだもん。」ということだ。
「でもさあ、悪者がいなくなっても幸せになるかどうかわからないよ。」
マリンは懐疑的だ。子どもとは思えない・・・
クラウドは子どもたちを早く寝かそうと思って読んだ本が、子どもたちを寝かすどころか興奮させてしまい、その上一番眠くなってるのは自分だ、ということに気づいて少々がっくりした。
「そんなことはいいから早く寝ろ!明日も学校だろう?」クラウドが声をかけると、二人は布団にもぐりこんだ。
「クラウド、今日ここで三人一緒に寝ようよ。」デンゼルが布団から目だけ出してクラウドを見た。
「一緒だとあったかいもんね。」マリンもクラウドの肩に顔を擦り付けてくる。
「ティファが一人じゃ可哀そうだ。」クラウドが言うと、
「じゃあ、ティファも一緒!!」マリンが自分の横を少しあける。
いくらなんでもシングルのベッドに4人は無理だ。
「誰かが落ちるゾ。」クラウドが言うと二人は諦めたようだ。
「ねえ、クラウド、今度4人で寝られるおっきなベッド買おうね。」デンゼルがそういうとあくびをした。
「クラウドがそれでもよければね・・・」マリンも自分のベッドに戻って布団に潜るともごもご言ってる。
「いい考えだ。」一応答えておいた。
部屋の電気を消そうと起き上がったら、ティファが入ってきた。
クラウドは枕元の本をつかむとマリンとデンゼルの額にキスをして
「おやすみ・・」と言って起き上がり、ティファと笑みを交わした。
電気を消して振り返ると、狸寝入りか本当に寝てるのかは分からなかったが、二人とも静かにそれぞれの布団に入っていた。
「何のお話読んでいたの?」薄暗い廊下でティファに聞かれた。
「白雪姫さ。」クラウドが答えると、
「あの話は続きがあるんじゃなかったかしら?」
ティファがつぶやいた。
「オレは知らない。」クラウドはティファの耳朶に軽くくちづけするとそういい、階段を上って行った。
ティファはしばらく考えていたがなかなか思い出せず、
「眠り姫だったかなぁ?」と言いながらクラウドの後を追って階段を上った。
ティファが寝室の扉を開けると、クラウドはベッドでうつぶせに寝転んでさっきの本を読んでいた。
ティファが隣に座ると、クラウドは仰向けになり、本を読み上げた。
「そしてお后さまは鏡に向かっていいました。『鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰じゃ?』」
「それは私。と姫は答えました。」ティファはそう言うと上着を脱ぎ捨て、下着姿になりそっとクラウドにくちづけした。
「ええい、憎らしい、この毒林檎を持って姫の元に向かおうぞ!」クラウドは片手を伸ばし、ティファの下着を取ると、こぼれてきた白い乳房を持って軽くつかんだ。
ティファは笑いだすと、
「これ、毒だったの?」と言いながら隣に横たわった。
クラウドはティファをひきよせると、胸に頬ずりし、
「これを食べると喉につかえて仮死状態になるんだ。」と言いながらそっと乳首を口に含むと舌先でつついた。
「これはアダムの林檎。」ティファがクラウドの喉仏にくちづけする。
「どっちが仮死状態になる?」クラウドに聞かれ、
「それはもちろん姫の方でしょ?」と言うとベッドに横たわり、胸の上に手を組んだ。
クラウドの手が優しく触れて、いつのまにか服を脱がされたようだ。目をつぶったままなので手の感触がよくわかる。
唇が髪、額、鼻、頬、唇に触れる。
思わず吐息をもらす。
その後さらに喉、双の乳房、腹、と温かい唇の感触がする。
そっと目を開けてうかがうとベッドサイドの薄明かりに金色の髪がきらめいている。
唇は臍をかすめ、さらにふっくらとした下腹部へ這い、太腿へ、両膝、くるぶし、爪先まで念入りに口付けしていく。
「姫・・・」クラウドの声がいつもよりしっとりと聞こえる。
「今薄目を開けただろう?姫はそんなことしない・・・」
ティファはきゅっと目をつぶり、
「姫は眠ってます。まだ目覚めません・・」と言った。
「ふ〜ん・・、この姫はキスくらいじゃ目覚めないようだな・・」
いきなり激しく乳首を吸われた。
片手を髪に差し入れられ、もう一方の手はすべらかな腹部をさすり徐々に下腹部から下へとまさぐるように伸びる。
優しく長い指がしっとりした部分を撫でる。
「ティファ・・・」あえぐような声とともに体の上にのしかかってくる。
「あぁ・・・・」もうじっとしてなどいられず、両手をクラウドの背中に廻すと自分に強くひきつける。
狂おしく背中に爪をたてると、屹立したものに貫かれた。
「あ・あ・・・」吐息は荒くなり、クラウドの動きに合わせて何かを迎えるように体が無意識に動く。
体の奥底から絶え間なく痺れに似た快感が伝わる。
いっぱいに満たされた幸福感にも似た、恍惚とした痙攣とともに、強く吸い上げた。
重なった体が震えた。
眩暈のような甘い快感のもと、二人は軽い口付けを交わした。
「姫は目が覚めた???」
ティファの汗にまみれた髪をかきあげながらクラウドが聞いた。
「姫は王子のお陰で目が覚めたの。」
ティファはクラウドの髪をまさぐると耳元で囁いた。
御伽噺は二人が結ばれて終わる。
でも現実はそこから始まるのだ。
私とクラウドは、今始まったばっかり。
幸せになろうと必死になってるわけではない。忘れられない過去や、互いの心の片隅に大事にしてるささやかな秘密もある。
でもきっと、二人でいればそこから何かが生まれてくる。
互いの腕の中、温かさに溜め息をつきながら目をつぶる。
昔話を話して。
眠る前に。あなたの声が聞きたい。
私はそれを聞きながら眠るの。お姫様は王子様と幸せに暮らす・・・
いつまでもこのぬくもりが私の隣にありますように。