アイシクル・ロッジ郵便局
私書箱 S−999
サンタ・マリア島
クラウド・ストライフ宛
クラウド、元気にやってるか?
オレは元気といえば元気だ。丈夫だからな。
オマエに会いたいのは相変わらずで、もうそれが普通の状態だ。
今度ウータイに遠征に行くことになった。せっかく楽しみにしていた次の休暇が取れるかどうか・・・なんとか10日以上の休暇をもぎとるためにがんばろうと思う。
メールも届かないし、電話も通じないサンタ・マリアに手紙なら届くっていうのはなんだか皮肉な気がする。
オレのヘタな字を味わってくれ!!クラウドがこの手紙を手にとって、見てくれるんだって思うだけで、涙が出そうにオレは嬉しい。
クラウドのところからもらってきた(というか無理やり奪ってきた、)枕カバーはオレの宝物だ。ウータイにも持って行く。きっちりした袋に密閉して大事に持ってる。
時々辛くなると取り出して封を開ける。オマエの匂いが立ち上って、体が震えてくるほど嬉しくなる。
ウータイでも星が見える。
どうか晴れた夜は星を見てくれ。
北極星がいいかもしれない。
夜中に目が覚めたら見上げてくれ。ウータイでは夕方くらいだと思うから、オレもそのころ見上げる。
この世の果てであろうと、クラウドが生きて呼吸をしてる、星を見上げてオレのことを思い出してるって思うだけでオレは泣きたいほど幸せだ。
ほとんど手紙なんて書いたことなくて何書いていいかもわからない。
もしかしたら、これってラブレターなのかな?
点描はオレの手だ。オレの手をなぞったけど、デカイ手だな。
オレの左手を見知ってくれ。
クラウドに触りたい、肌に、髪に触りたい。
どうかオレの左手に手を合わせてくれ。
大事なクラウドへ。
ザックス・フェア
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第二連隊 第三中隊所属
ザックス・フェア 少尉宛
ミッドガル神羅Sビル12階1203号からウータイ東北第五師団基地へ転送
ザックス、手紙ありがとう。
すごく嬉しくて毎日読んでる。
ザックスの手にオレの手を重ねてみた。ザックスの手の方が関節一つ分も大きい。
紙なのに、重ねた瞬間ザックスの手の感触がよみがえって泣いてしまった。
泣くなんて本当に久しぶりだ。自分の涙におどろいた。
オレはそれなりに元気だ。
夜明けと夕暮れには天気がよければ浜に出て、ザックスのいる方向を眺めてる。
当たり前のことだけど、空はずっとつながってるんだなって思って。
修行僧みたいに暮らしてるって言われたけど、本当にそんな感じで毎日過ごしてる。
いままで体だけで生きてたけどザックスのおかげでやっと心が生まれたみたいな気持ちだ。
二週間に一回、軍用ヘリが来る。
物資を運んだり、手紙や連絡便を持ってくる。
パイロットはいいお爺さんで、軍を退職してからこの仕事をしてるそうだ。
このお爺さんと交わす会話がオレの唯一の人間との会話だ。
頭はほとんど正常みたいだから心配しないでほしい。
いつここに来られるかなんて気にしないでくれ。
オレはどうせ毎日海を見てる。たまに漁船をみかける。近くを通ると手をふったりしてくれるけど、そんな時ザックスが乗ってるかもしれない、なんて思いながら見てる。乗ってなかったからってがっかりするわけじゃないんだ。
希望があるっていうのがいい。
希望っていままで無縁なものだったから、すごく綺麗でどきどきする気持ちを味わえるのが新鮮だ。
オレも左手をなぞってみた。ザックスよりずっと小さいね。掌の真ん中に口づけをした。
髪も少し切って入れたけど、持っててくれると嬉しい。
今度ザックスの髪も送ってくれ。
もうウータイに出発したのかな。
心から無事を祈ってる。
クラウド・ストライフ
(2008/10/17)up
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<もう一つのエピソード>は、ブリザード・・のクラウドversionのラストに外伝として載せました。
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