ミッドガル雑記;ミッドガルの12ヶ月

□2011/7月七夕
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親友カンセルから、五番街の魔光器具屋で省エネ型扇風機が売り出され、すっげえ人気なんだぜ、と聞いたザックス、これはなんとかGETしてやろうと、うだるような暑さにも関わらず外へと飛び出していった。
なにしろ人気の器械だ。カンセル曰く長蛇の列だから早めに並ばないとなくなるゼ、ちなみにおれは発売開始日に3時間並んで買ったゾと聞いてたので覚悟はしていたが、運悪くザックスの一つ前で扇風機は売り切れた。

はあ〜クラウドになんとかしてやりたかったのに……
ザックスは肩を落としてまだ昼間の熱が残る夕暮れの道をとぼとぼ歩きだした。
そんなザックスをこっそり物影から見ている人影があった。

「お兄さん、ソルジャーの兄さん!」
炎天下5時間以上魔光器具屋の前で並んでいたせいか、脱水で頭がぼんやりしていたザックスは、何度か呼びかけられてからやっと気づいた。

「はあ〜〜?何か用か?」
小柄でどう見ても12歳くらいにしか見えないアヤシゲな人影が店の角から手招きしている。

「扇風機買い損なったんだね?可哀そうにね〜でもさ、うちにいいモンあるよ!」
多分暑さのせいで判断能力が鈍っていたのだろう、ザックスはふらふらと声のする方に向った。

「なんだよ、いいモンって」

小柄な人影はザックスの手を取ると、こっちこっちと裏路地に引っ張り込んだ。
そこにはいかにも胡散臭い屋台があり、なにやらカラフルな袋がいくつも並んでいた。

「あのね、今限定でウータイ製の『省エネ納涼セット』売ってるんだよ!お兄さんはソルジャーでしょ?」

「ああ、そうだ」
頭の朦朧としていたザックスも、『納涼セット』にはぴくりと反応した。

「ソルジャー様には特別価格で販売するよ!限定品だけど特別に一つ500ギルのとこ二つで800ギルだ!」

「ホント?安くなってるんだ!じゃあ二つもらおうかな?」
ついうっかり話しに乗ってしまった。相当暑さで頭が鈍っている。

小柄な少女(どうも女の子らしかった)は屋台の上に並んだピンクの袋と水色の袋を取りあげた。
「彼女の分でしょ?ニクイね〜〜!この!ソルジャーさんはもてるから!」

ザックスはぽりぽり頬なんか掻いて、いや〜まあ彼女っていうのとも違うけど、うん、恋人かな、やっぱり、とか照れながら答えた。

「これは秘密の販売だからね!ウータイは元々省エネ国家だから魔光なんかなくても涼しく過ごす知恵がこの袋にゃ詰まってるんだ!」

ザックスは財布を取り出すと、小柄な少女の言い値で「殿方用:水色の袋」と「ご婦人用:ピンクの袋」を購入した。

「これで今日から魔光なんかなくても涼しく過ごせることは請け合い!!ウータイの知恵を結集した省エネグッズだからね〜!」
毎度アリ〜〜、兄さんお得な買い物したね!なんて言われたザックスはなんだかちょっと浮き浮きした気分で家路を急いだ。

これでクラウドに涼しい思いをさせてやれる!ザックスは一抱えもある大きな袋を二つ抱えてゴキゲンだった。
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