普通にザックラ〜ミッドガルの日々

□もうすぐミッドガル・・
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クラウドは意識が戻って開口一番、

「バイクは大丈夫?」って聞いた。

バカなヤツだ。

あんなものどうでもいいんだ。万一壊れたって設計図があるんだからまた作れる。
クラウドに何かあったら取りかえしがつかない・・・

しばらく抱きしめていた。
まだ少年の体はほっそりしてて、オレがあまり強く抱くと壊れそうだ。
髪を撫でてるうちに段々はっきりしてきたようで体を起こす。

「衝撃で失神したみたいだな。怪我は見たところないようだけど、どこか痛いところあるか?」と聞くと、

「いや、大丈夫。ザックスこそオレをかばって叩きつけられたんじゃないの?ザックスは怪我してない?背中とか痛いんじゃない?」と逆

に心配された。
水色の目が問いかけるようにオレを見つめる。

ああ、心配されるのっていいなあ・・・ソルジャーになってから、これくらいのことじゃ誰も心配してくれない。
オレたちはよっぽど頑丈だと思われてるみたいで。
怪我したってすぐ治るから、その辺のものがちょっと壊れて修理に出すくらいの感覚で扱われてる。
特に戦場に行くとひどいもんだ。ソルジャーは痛みも感じないって思ってる連中だっているくらいだ。

なんだかすごく嬉しいよ、オレは。こんな風に心配してくれるなんて・・・

「これくらいなんともないさ。クラウドがガラス製なら、オレは鋼鉄製みたいなもんだから。」

「よかった。ほっとしたよ。」

クラウドの髪をくしゃりと撫でると尻の砂を払い落とし立ち上がる。

う〜〜ん、もっとクラウドを抱きしめていたかった・・・

自分の気持ちが深くなっていくのがなんだか恐ろしい。

気をつけよう。信頼を裏切っちゃダメだ・・・


バイクを確認したが、横転してはいるものの、どこも壊れてないようだ。砂地だったのが幸いしたようだ。

クラウドもやってきてバイクのあちこちを点検してる。

「軽いすり傷があるくらいだね。これすごく重いけど、起こせる?」

愚問だよ、クラウド。こういうバカ力はソルジャーのもっとも得意とするところなんだ。

「まあ見てなって。」
そういうとバイクのハンドルを持って力をこめる。
さすがに少し重いけど、バイクは簡単に起き上がった。クラウドが息を呑んで見てる。

「なっ?どうってことないんだ、これくらい。」

「やっぱりザックスはソルジャーなんだね。話してると時々忘れちゃうよ。」

「オレはソルジャーなんじゃなくて『ザックス』なんだよ。クラウドがオレがソルジャーだって忘れててくれる方が嬉しい。」

オレが思わずそう言うとクラウドはあの綺麗な水色の瞳でオレをじっとみつめ、にっこりした。

天使みたいだ。オレの天使、なんて心の中で叫んだ。口に出したらヘンタイ扱いされそうだから。
クラウドとの間の壁がぐっと低くなった。

なんだか切ない。切ないなんて気持ちを初めて知った。


ミッドガルまでは結局オレが運転した。
クラウドは背中から時々覗いては計器を見てる。肩越しに覗く時、耳元に息遣いが聞こえる。
そんなことにも感動してるんだ、オレは。

行きの逆回しみたいに、緑が減ってきて荒涼をした景色へと変わっていく。
ミッドガルが近づいてきた・・・

クラウドを宿舎まで送ろうと思ってたが、ふと思いついて、

「オレんち寄らない?バイクはすぐ返さなくてもいいし。」と言ってみた。

バイクは本当は今日中に返せ、といわれてたけど、電話しておけば多分大丈夫だろう。統括!!ゴメン!!


「え?いいの?じゃあちょっと寄るよ。」
クラウドが簡単に答える。うん、オレたちはぐっと近づいたんだな。


一緒に夕飯も食えるかもしれない。オレが簡単に何か作って部屋で一緒に食べてもいいな。

部屋はちょっと汚いけど、一応結構広いから座るスペースくらいある。


ついにオレんちにクラウドが来る!!!

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