普通にザックラ〜ミッドガルの日々
□初めて食事に誘われる
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待ち合わせの時間には余裕を持って行こうと思っていたのに、出掛けに廊下でばったり隣室のヤツに会い、水道の水漏れのことについて聞かれたりしてたら、少し遅れてしまった。
急いで行ったつもりで、時間的には大丈夫だと思っていたんだけど、待ち合わせの時計塔の下にはザックスらしい人影がいるので焦った。
せっかく誘ってもらったのに、遅刻なんてしたら申し訳ない。
遠目で見てもザックスはすごくいかしてる。背が高くて均整がとれてるし、格好も垢抜けてて、自分とは大違いだ。
なんだかすごく不釣合いな気がして気がひける。それなのにオレが遅刻するなんて!!
急いで走った。
こっちに気づいたようで、タバコを吸いながらオレを見てる。難しい顔をしてるみたいなんで、遅刻を謝らないと、と焦る。
こんな時に限って人が沢山前を横切る。思わず走ってしまった。
遅れたので謝ったけど、怒ってもいないようだ。よかった。
ザックスは自分より二歳くらい年上なだけなのに、とても落ち着いて見える、
肩を親しげに叩かれてちょっとドキっとした。
オレは人に体を触られるのがどうも苦手で、つい過剰反応してしまうから気をつけよう。
せっかく親愛の気持ちをこめてくれたのに。
ザックスはゴンガガの出身でやっぱりミッドガルに来たばかりの時はカルチャーショックがあったそうだ。
オレが、エレベーターも乗ったことなかったから最初乗った時はドキドキしたって話したら、
「オレもそうだぜ!ゴンガガには三階以上の建物はなかったからな〜」と軽く笑ったんですごくほっとした。
だってエレベーターも地下鉄も初めてなんて、いままで恥ずかしくて誰にも言ったことなかったから。
昼は結構高そうな店に入った。ザックスには普通の店なんだろうな。
ピザとって半分ずつにしようって言われて、なんだか本当に友人同士みたいで嬉しかった。
熱々のピザはチーズがとろけてトマトソースとからんでとても美味しい。ザックスは大きく口を開けるとペロリと食べると、にこにこしてオレを見てる。
光の中で見ると、やっぱり瞳の色が違うことがはっきりわかる。
深い蒼にうっすらと翠が入っていて、マテリアみたいに光る。ああ、ザックスはソルジャーなんだ、ってしみじみ思った。
オレもいつかなれるだろうか?
この目にじっと見つめられると少しすくんでしまう。きっと動物でいえば、肉食と草食の差みたいなもんなんだろう。
猛獣の目のように見えることがある・・・
ソルジャーの事、色々聞きたかったんだけど、なんとなくあまり話したくなさそうだった。
生意気だと思われたかもしれない。
「ザックスって呼んでくれ。」って言われた。
いいんだろうか?
ザックスは本当に気さくで明るい。こういう性格に生まれたかった。
自分が欲しかったものをほとんど持ってる・・・
いい人だ。