普通にザックラ〜ミッドガルの日々

□初めて一緒に食事
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待ち合わせの場所には15分くらい早めに着いてしまった。
私服のクラウドに会うのは初めてなので、ちょっと楽しみだ。
神羅の青い軍服姿もよく似合っていて、初々しい少年兵といった感じだったけど。
自分自身は、さりげなくちょっといい感じの普段着、という感じの服を選んできた。
黒いジャケットにベージュ系の地模様のあるスタンドカラーのシャツだ。髪もきちんと櫛を入れた。
まさに初デートに臨む片思いの男性のようだ。我ながら情けないくらい張り切ってる。

時計塔の下は他にも待ち合わせらしい男女が数人いる。皆時々時計を見上げながら、雑踏を眺めてる。
じっと人波を見ていたら、向こうからひときわ目立つ白金色の髪が日にきらめいた。
あれは絶対クラウドだ。まだ向こうはこちらに気づいてない。その間にじっと観察する。

クラウドはジーンズに白っぽいジャケットを羽織っており、下には暗い色のTシャツを着ている。風に髪がなびいている。目に埃が入ったのか、眩しいのか目をしばたいている。自然な状態の表情をゆっくり眺める。ソルジャーの視力に感謝。
なんだか少し不安そうな顔をしてる。いきなり一回会っただけのソルジャーに呼び出されるなんて、彼にしてみればもしかしたら迷惑だったのでは、と心配になる。

片手をかざしてこちらを見ている。オレに気づいたかな?
じっとこちらを見た。
群集の中で色白の顔が浮き上がって見える。それともそういう目で見てるからそう見えるのか・・・

あ、オレにきづいたようだ。待たせてると思って焦ったのか少し急ぎ足になった。
髪がふわふわ揺れている。ジーンズをはいてても足がほっそりしてるのがわかる。そんなに走らなくてもいいのに、走り出した。
オレのところまで走ってくる・・・頬が紅潮してきた。

タバコを胸ポケットから取り出し火をつける。
少し気持ちを落ち着けよう。

自分でも自分の気持ちがよくわからない。
ともかく四六時中気になってるのは確かだ。好きなんだろうか?

ただ好きというのとも違う気がする。

考えるのはやめよう。
まずはクラウドと親しくなりたい。

「すいません、お待たせてしてしまったようで・・」軽く息を切らして駆け寄ってきた。

「いや、ヒマだったんで早く来すぎたんだ。腹減ってない?」
もうすぐ12時だから、もう食事に行ってもいい。

「あ、はい・・まだ朝食べてないんで・・・」そうか、今日は休日なんで、朝も食べずに遅くまで寝てたんだ。

「ピザの美味い店があるんだけど、いい?」と聞いてみた。

ほんのり頬を赤くして「はい。」と答える。

うわ!なんだか可愛いよ・・・なんで頬がすぐ赤くなるんだろう?あまりじろじろ見ると嫌がられるから、

「よし!!じゃあ行こうゼ!今日はオレがおごるから。」と威勢よく言って肩を叩き、にっこり笑いかける。肩を触った・・
肩は思ったとおりちょっと華奢で、叩くとびっくりしてこっちをまた恥ずかしそうに見る。

まいった・・・

一緒に他愛ないことを話しながら歩く。
何話したか、よく覚えてない。上がってたんだ・・
田舎の話をしたような気がする。ミッドガルに初めて来たころのこととか。

カフェテリアはまだ時間が早いので空いていた。

気持ちよい窓辺に席をとり、メニューを開く。

オレは茸とベーコンのピザ、クラウドはシーフードとオニオンのピザを頼む。

「半分ずつ食おうぜ。」そう言うとはにかむようにうなずく。

一緒にビールを飲みながらピザを食べる。ここのピザは美味いんだ。クラウドも美味しいと言ってる。よかった。
白い歯でピザを噛み切るところをじっくり見てしまった。歯がすごく綺麗だ。

「ソルジャーって遠征もあるんですよね。」クラウドはソルジャーに憧れているらしく、ソルジャーの事を色々聞きたがる。

「ああ、いいことなんてあまりないけどね。」
正直、自分のミッションについてはあまり話したくない。暗い話になるから。避けたい話なんだ・・本当は。

オレがそっけないと思ったのか、傷ついたような表情一瞬顔をがかすめる。

ちょっと話題を変える。
「クラウドはソルジャー目指してるんだったな・・・」そう言うと

「はい、今度の試験も受けて見たいと思ってるんですけど・・・」

「クラウド、敬語使わないで普通に話そうよ。オレ、敬語苦手なんだよ。」思い切って言ってみた。クラウドの敬語のせいで、なかなか二人の間の垣根が低くならない・・・

「え・・でもザックスはソルジャーだし、オレは年下の一般兵だし・・・」

「せっかく知り合いになったんだし、もっと気楽に行こう?ザックスって呼んでくれ。」緊張をほぐしてやりたい。

「わかりました・・ザックス・・・?」大きな目でオレを見上げる。

ザックスって呼ばれて嬉しかった・・・名前を呼ばれただけなのに、胸の奥が熱くなる。
オレはどうかしてる。
友人に名前を呼ばれるのは嬉しいからだって、そう思った。その時は。

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