普通にザックラ〜ミッドガルの日々

□初めて電話をもらう
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ミッドガルで暮らし始めて結構経つのに、まだここになじめない。
元々集団で行動するのが苦手で、和気藹々ってヤツがどうしてもしっくりこないのに、神羅での生活は同じくらいの連中と朝から晩までつるんでないといけない。
その上田舎育ちだから、知らないことばかりだ。
変にプライドの高いところがあって、素直に聞けないから、しょっちゅう困ったことになる。
我ながら素直でないというか、意地っ張りな性格だと思う。

生来真面目なのか、講義や演習はサボったこともなく、ミッドガルという大都会に出てきてあちこち探検するように遊び歩いてる同僚たちともなんとなくソリが合わない。
こんなんじゃまた友達もなかなか出来ないかもしれない・・・

故郷のニブルヘイムでは同い年の子たちとうまくいかず、なんとなく敬遠されていた。
ここでも自然なふるまいというのがうまく出来ず人間場所が変わっても早々変われるもんじゃない、と半ば諦め気分でいた。

先日のミッションでは、若いソルジャーと組んでの仕事だったが、自分が撃った一発がうまくモンスターに当たり、感謝された。
射撃を真面目にやっていた甲斐があった。

すごく嬉しかった。

黒髪の若いソルジャーは、お前、なかなかやるな、と親しげに笑いかけてくれた。

ソルジャーなんて今の自分からしたら雲の上のような人だ。
それなのに気さくに話しかけてくれ、田舎出身だということでちょっと親しいような気まで味わえた。
つい少し話しこんでしまい、携帯のナンバーとアドレスを交換した。

ミッドガルに来て初めて、心から良かったと思えるわくわくした経験だ。

ミッションの後、ミッドガルに帰ってきてからも、もしかしたら電話でもあるかもしれないと思ったりしたが音沙汰もなく、やっぱりひょんな気紛れで自分の携帯のナンバーを聞いただけなのかもしれない、オレなんて彼の沢山いる知り合いのほんの端っこの一人なんだろうな、ともう諦めていた。

自分の携帯に登録されてる知り合いはすごく少ない。
まだ10人にも満たない。
大体こっちに来て携帯を初めて購入したけど、ほとんどメールも電話もなく、連絡網以外で鳴ることなんて一度もなかった。

だから休みの朝、携帯が鳴った時はびっくりして飛び起きた。
受信記録がザックスだったのには心底驚いた。

今日は休みだけど何もやることもないし、どうしようかと思っていたところだ。
この前の休みは一人で図書室で本を読んでいた。

今回の休みもそんな感じで過ごすのかな、と思ってたら・・・

どうしよう、すごく嬉しい。

なんでオレなんて誘ってくれるんだろう?
きっとすごく退屈してて、ちょっと思いついたんだろうな。

面白い話題もないし、気のきいたこともいえない田舎者だ・・・
たとえ今回だけでも誘ってくれたのは本当に嬉しい。

迷惑にならないようにしよう。

友達は無理でもちょっとした知り合いになれるだけでも満足だ。

待ち合わせ時間まで落ち着かない。
この前最後に見たザックスの笑顔を思い出す。

これから会うのがすごく楽しみだ。

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