TTK小説置き場

□孤神光闇 弐ノ巻
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「おはようございます♪」

玄関の掃除をする凛の姿を、翔太は眠い目をこすりながら見る。

「おはよう、翔太。」
「母さん。」
「瀬南は疲れてるみたいだから、今日は休ませてあげましょう。
・・・そういう訳だから。」
「・・何?」
母の目が、キラリと光った。


―――第弐話―――


「おはよう、樹里亜ちゃん。」
「・・・はい、おはようございます。翔太君。
今日はかなり眠そうですけど・・?」

 それはね、孤神の仕事で疲れている瀬南の寝相に安眠を邪魔されたからだよ


「(なんて言える訳が無いな・・・。)
うん、あんまり寝れなかったんだ。
・・・ちょっと、イトコが遊びに来ててね。」
「そう、ですの。・・・。」
「(怪しまれたかな・・・・)」










「はあ・・・」
帰り道。

瀬南がいないのでかなり暇な道になる。

しかも、母より命じられた「あること」
をしなくてはならない。

それを思うと、溜め息ばかり出てくる。

「翔ちゃん。」
「あ、凛。
何でここに?っていうか、凛は学校とかいいの?」
「細かいことは良いでしょ。
手伝いに来たんだよ。」
「それはありがたいよ。
・・・・・・凛の実家も行こうと思ってたし。」





「ねぇ、瀬南」
「何ですか?」
母は、真剣な目つきをしている。


「私が孤神を翔太に継がせたこと、怒ってる?」

「・・・いえ、そんなことないですよ。
でも僕としては・・・・」



瀬南は下を向き、沈黙した。

一瞬だったのに、それがとても長い時間に感じられた。





沈黙を破ったのは、素っ気無い電子音。



「『あの人』からのメールがきました。」
「そう、じゃあ翔」
「僕が行きます。」
翔太の名前が出かけたとき、瀬南はそれを遮った。

「でも瀬南・・・疲れてるんじゃない?」
「大丈夫です。」
「・・・・。」






こんなやりとりがあったことを、勿論翔太は知らない。
呑気に母より頼まれた買い物リストを眺めている。
「よし・・これで全部かな。」
「翔ちゃん買い物遅いよ。
・・女の子みたい。」
「・・・うーん・・・どう反応していいものか。」
「少なくとも褒めてはいないよ。」
「いや、それはわかるんだけど。」

突然、凛の声色が変わった。


「翔太、一個だけ聞きたいことがあるんだけど。」


いつもは『翔ちゃん』と呼ぶのに、『翔太』と呼んだ。
・・・真剣だ。


「普通が良いな、って思ったこと無い?」
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