オリジナル小説置き場

□君の名呼ぶように
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一生に一度の恋でした。


最初で最後の恋でした。





だけど、時間は残酷で…




想いは夢に消えていった。














「また会ったね。」


そう言って笑う君が好きだった。


君は知らないでしょう?


「うん、これから病院なんだ。」
「病気療養頑張ってね。
…無責任かな。」
「そんなこと無い。
わたしは…」




いつもその先が言えなかった。

『また会える』


なんでそんなこと思ってたんだろう?






結局、『いつも』なんて崩れかけたジェンガみたい。
なにか一つ積み上がる度に、不安定なものになっていく。







わたしの積み上げたものが崩れる時は、もうすぐ近くなんだ。







わかってた。





「わたし、紅愛(クレア)」
「俺はリューマ。」


名前を呼ばれるのが、こんなに嬉しいと思ったことなかった。






だけど。



「クレア!?」


終わりは突然。
さっきの幸せな気持ちを残したまま、














わたしは死んだ。













「クレア…
クレアーーーッ!!」






リューマの声は聞こえていた。



わたしも声に応えよう。


何が出来るかはわからない。





それでもわたしは、




それがそういう感覚ならば。




大きく息を吸って







君の名呼ぶように。

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