TTK小説置き場

□君の為のknight
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真っ白。

何も無い。
『無』の空間。



病気療養と言えば、聞こえはいい。

けど、実際は隔離されただけだ。

ここは牢獄と何も変わらない…





両親だって、心配してたのは最初だけなんだ。きっと。




『生かされている』だけの生活に意味なんか無い。


もう、嫌だ。




さくっと終われば、楽になれるのかな。


前までは、そう思ってた。




「崚行。」


この人は、美知代という名前の不思議な人。

名前以外何も知らない。

ここは『牢獄』だから、普通の人は入れないはずなんだけど…
美知代は何故かここにいて、何故か話し相手になってくれる。


美知代の話は見飽きた漫画や代わり映えしないテレビなんかよりずっと、
何十倍も面白い。

俺は殆ど聞いてばかりでいるけど、それで良かった。


だけど今日は、真剣な表情だったから…


「………美知代?」
「ああ、ごめん。
ねぇ崚行。……外に出たくない?」
「え?」


外…に、出たくないか……?

「ここから出してくれるってこと!?」
「そういうこと。
まあ、『奴ら』に見つからないようにだから、
あまり長くは出してあげられないけど…
それでもよければ」
 

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