TTK小説置き場

□孤神光闇 弐ノ巻
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「はい、翔ちゃん。
『以前』ぶっ壊した狐の面。
直してあげたからねー。」

紅い狐の仮面をつけた少女が、そう言った。
「ありがとう。これでやっと瀬南に任せてた仕事ができるよ。」
翔太は紅い狐から仮面を受け取る。
「瀬南・・・」
紅い狐は小さく呟いた。



―――第壱話―――

「お嬢様。今日の新聞です。」
執事 聖斗は樹里亜に新聞を手渡す。
「『黒き孤神現る!!』・・・・
ねえ聖斗。」
「・・・何でしょう?」
「『以前』死んだといわれる白き孤神と、
今動いている黒き孤神・・・
別人なのでしょうか?」
「・・・と、言いますと?」
樹里亜は新聞紙に眼を移す。

「仮面の下が同じ顔かどうかではなくて、
孤神同士がすべて血縁関係なのでは・・・と言うことでしてよ。」
聖斗は眼鏡をクイ、と上げた。

反射して眼は見えないので表情はわかりにくい。
「さあ、どうなんでしょう?
僕には解りませんが・・・?」
「そうですよね。」

暫くの変な沈黙・・・・


それを破ったのは聖斗の一言だった。
「そういえばお嬢様。学校はいいんですか?」
「え?」
「だから、学校です。」
「勿論行きますわよ。」
「でしたら  ―――」
聖斗は懐中時計を取り出す。
「――― もう少し急いだほうがよろしいかと。」





現在時刻は、午前八時丁度・・・。






翔太の目覚めは最悪だった。
「瀬南、足。重いから。」
眠い目をこすりながら簡潔に述べる。
瀬南の右足が、翔太の腹に乗っかっている。

乗っけている本人は、能天気な寝息を立てて熟睡していた・・。
「僕の代わりで忙しいのは解るけどさ・・・
痛い痛い痛い!!」
足の裏に激痛を感じ、思わず叫ぶ。
「おはよー、翔ちゃん。」
「凛、痛い。瀬南の足をよけてくれたら嬉しいんだけど。」
凛と呼ばれた少女は、微笑んでいる。
「いや、笑ってないでさ、本当、切実に痛いんだけど。」
「翔ちゃん朝は不機嫌だね。
ちょっとは褒めてよね、凛だって昨日大変だったんだから。」
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