クロスオーバー小説置き場2

□龍王戦記リリカルなのはA'S
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時空管理局の最深部。


二つの金色の閃光が駆け抜ける。

一つは少年。

金髪にバンダナをつけた蒼い瞳の少年が、厳重に警備「されていた」宝石箱に手をかける。

 「コイツがジュエルシードか。
ふぅん、一人の哀れな女を狂わせるには十分な代物だ。」



そんな呟いたとき、

「そこで何をしている。」


鋭い声がした。



「おぉ、早かったじゃ・・・って違うな。
・・そうか、そうなんだな。」
一人で何かを納得する少年。

対する鋭い声は、少年よりも少し年上の少女。


金髪に赤い瞳・・・時空局嘱託魔導師フェイト・テスタロッサである。





「それが何だか解っているの?」
「じゃなきゃ、わざわざ盗みにこないだろ?」
「そういうことを聞いてるんじゃない!」
「熱くなるね、嬢ちゃん。
何を引き起こした物かは、嬢ちゃんが一番良く知ってるはずだ。俺に聞くことじゃない。
・・・うん、一応言っておこうか。一人の哀れな女を狂わせたロストロギア。
これでいいか?」


フェイトの顔色が変わった。


「・・・・・。」



少年は淡々と続ける。そしてフェイトのほうへ歩き出した。


「悪いね嬢ちゃん。
ジュエルシードは俺が貰った。」



少年は何処からか少年の身長以上の大太刀を出す。



「『ライザー』。最大出力。」


激しい風と光に、思わずフェイトは目を閉じてしまう。



フェイトが目を開けたとき少年の姿は消えていた。














それから数日後。




フェイトの親友、高町なのはが住む海鳴市。


「もうなんなのっ!?」

巨大化したネズミに追いかけられる少女の姿がある。




なのはではない。何処にでもいるような、普通の女の子である。


「(思い出せば、最近変なことばかり。
昨日は幻聴が聞こえた。二日前は勝手に物が動いた。
さらにもう少し前は、これに似た風景を夢で見た・・・。
夢のとおりだとすると、次は・・・)」


少女は躓き、派手に転んだ。


「(やっぱりね・・・解ってても痛い。
じゃなくて、次は・・・)」



「フォトンスライサー!!」


金髪赤目の少女がオレンジ色の閃光を伴い、間に割って入る。


「シュート!!」


全弾命中クリティカルヒット。
ネズミは黒い宝石を吐き出し、元の大きさに戻った。



「カイの奴しくじったわね・・・。
っと、大丈夫?」
「え、ええと・・・はい。」
「ならばよし。
あなた、美知代ちゃんでしょ?」
「はい、鈴木美知代です。」
「ビンゴ!
わたしはアリシア。アリシア・テスタロッサ。魔術師なの。」
「そのアリシアが、私に何か・・・?」
「そう。
何処から説明したら良いかな・・・

あ、さっきのネズミなんだけど。」






ジュエルシード、って聞いたこと無い?
あ、無い。
うん、そうだよね。

じゃあ「はじめ」からはじめるよ。

とある盗賊が、ジュエルシードを盗んだ。
ジュエルシードは凄い魔力を秘めた兵器だから、それを良く知るとある魔導師は彼をとても危険視した。
だけど、上のほうの偉い人達は、魔力に目のくらんだハイエナだといって深刻視しなかった。


それが問題だったの。

彼が奪取したジュエルシードは世界中にばら撒かれ・・・そして、
さっきのネズミみたいな動物が増えてきている。
動物達に、ジュエルシードの魔力は重すぎて耐え切れなくて暴走してしまうって訳。

そこで、ようやく偉い人達も事態の深刻さを理解して重い腰を上げた。

ジュエルシードを封印することになった。


「じゃあ、それを手伝えば良いんじゃない?」

「最後まで聞いて。」


ジュエルシードが引き起こしたのは、動物の暴走だけじゃない。
古の龍王が、その魔力によって封印されていた。
それを全て封印してしまったら、どうなると思う?

「どう、って・・その魔力を使ってるんなら、・・・あ!」

そういうこと。封印は解けてしまう。
多分龍王は人間を恨んでいるでしょうね?
世界を滅ぼそうと思ってるかもしれない。

実は既に、彼の子供達が各地で動き出してる。

わたし達はそれを知っていたから、今回行動を起こした。


・・・今までは、存在を隠していた最後のジュエルシード。
それをあの子に見つけられてしまったから、盗んでばら撒く方法を取るしかなかったのよね。


「アリシアがジュエルシードを盗んだの・・?」

そんなところかな。
「龍王を、倒せば良いんじゃない?」
「それは駄目!!」


アリシアは声を張り上げた。

「駄目、それだけは絶対に駄目なの。」


「・・・どうして?
龍王は、悪さをしたから封印されたんじゃないの!?」
「・・・それはそうかもしれない。
今を生きるわたし達に知る術は無い。
だけど、龍王は・・・・・!」








『我が子供達よ、忌まわしき人間どもに復讐する時が来た・・・!
忌まわしきその姿を捨て目醒めるがいい・・・!』
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