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□目は口ほどに
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ベッドにのっている女の爪の色は
指先が赤、爪先が黒だった。

その印象的というか、生々しい色は
女の肌の白さを一層際立たせる。

クリーム色の布を纏い、
立てた膝の上の顔。

どこか虚ろな目は
何を映している?

さっきまで
「一個の個体」

ペイントツールのバケツを使えば
漏れることなく
同じ色に染まっただろうに



なのに今は…

「俺を愛してる?愛してない?」
YES・NOクエスチョンの答えさえ分からない


女は一度目を閉じて

それから

ゆっくりと

目を開けた


カチリ。

俺と視線が合う。

カチカチリ。

目はどちらも反らさない。
カチリカチカチリ。

眉をハの字に曲げて
彼女は笑った

"私の負け"

そう言ってる気がした


なんだ

分かるじゃないか

口で言わなくても

分かるじゃないか

「目は口ほどにものを言う…か」

え?
そう言う彼女の唇を塞いで押し倒した
 

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