Miyabiの図書室

□逢瀬の痕
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「お邪魔します。すみません。」

「はい、これで身体拭いて。」


真里菜はタオルを手渡され、濡れた髪、衣服を拭いた。

この香り・・。薔薇の香り。いい匂い。


「服、かなり濡れてるわよね。シャワー使っていいわよ。着替えここにおいとくから。」


「すみません。ご迷惑おかけします。」


「かまわないわよ。別に迷惑でも何でもないから、気にしないで。」


真里菜は、言われるがまま、シャワーを借りることにした。


雨で身体が冷えて、寒くて仕方なかったから・・。


同じ作りの自分の部屋では、部屋で脱いでシャワーを浴びるけど、


そこは遠慮して、トイレの上蓋に脱いだ衣服を置き、シャワーを浴びた。


暖かいシャワーはとても気持ちいい。


ここも、薔薇の香り・・。


ボディソープも、シャンプーも全部薔薇の香りで揃えてある。


(好きなんだろうな。。薔薇の香り)


真里菜は、早々シャワーを済ませた。


あっ・・タオルと着替え、部屋に置いてきたままだ・・


真里菜は少し恥ずかしかった。


狭いワンルーム。扉を開けたら、全裸丸見え・・。


少し考えてたら、外から声がした。


「ちょっと入るわよ。」


真里菜はビクッとした。女同士なんだから、そんな気にすることもないのに。。


「はい。バスタオル」


「あっ・・ありがとう。」


真里菜はシャワーカーテンから手だけ出して、さっとバスタオルを受け取った。


「着替え。ここにおいとくね。」


真里菜は身体を拭き、着替えを手にした。


(これ・・。)


置かれていたのは、メンズの白シャツ1枚。


濡れた服と下着は、さっき持って出てしまっているみたいで何も残っていなかっ

た。


下着もないまま、真里菜は仕方なくシャツを羽織った。



「すっきりした?」


扉を開けると、スリップ姿のお姉さん・・。え?


真里菜は一瞬、びっくりして声も出なかった。


「私もシャワーまだだから。ここに紅茶入れてあるから飲んでて。」


「佐々木さん。すみません。私先にはいっちゃって。」


「私より、貴女のほうがひどく濡れていたから。気にしないで。」


シャワーの扉が閉まると、真里菜は、ソファに腰掛け遠慮なく紅茶をいただいた。

この紅茶も、甘い薔薇の香り。。ティーカップの隣には薔薇ジャムが添えてある。

真里菜は、薔薇ジャムをスプーンで1杯すくって入れて飲んだ。

甘く、高貴な香りがした。


何気なく、部屋を見渡すと、すっきり片付けられたシンプルな部屋。

真っ白のシーツのセミダブルベットだけが妙に浮いているような

感じがしたけど、ベージュ系でまとめられた部屋は、ホテルの1室のようだった。

そこに、真里菜の濡れた服がかけられてあった。

(乾かしてくれてるんだ・・。)


シャワーのザーザーという音が止まった。

暫くすると扉が開いた。

そこには、同じ白いシャツを着た、綺麗な女性・・

真里菜は、同じ女性でありながら、その姿に見とれてしまった。

白いシャツから覗く、吸い付くような白い胸の谷間。

上向きにツンと突き出た、乳首が、とても色っぽさを増す。


「ごめんね。着替えこれしかないの。部屋着って、いつもシャツだから。」


真里菜は見とれている自分に気づいて、ぽっと顔を赤らめた。


佐々木は、真里菜の隣に腰掛け、足を組んで、煙草に火をつけた。


白い手入れされた足・・。パールピンクのペティキュア・・。


細くて長い節のない綺麗な指・・。


モテるだろうな・・。佐々木さん。
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