Miyabiの図書室

□桜の丘で
2ページ/16ページ







次の日

私は時間を無理やり作って あの場所へと向った。



心の何処かで

また逢えるんじゃないかなと期待している自分がいた。



んー気持ちいい。


昨日の特等席で横になりながら、また大きな伸びをする。


その時、昨日の女性が下から歩いてくるのが見えた。


自分の気持ちが高鳴っているのがわかった。


何て声をかければいいのだろう。


そんな事を思いながら、あえて目を閉じて気づかないふりをしようと決めた。



「今日もお昼寝ですか?」



その女性の声にそっと目を開けてみる。


今日はまた胸の谷間が見える、肌にぴったりとした白シャツにジーンズ姿。


「暖かいですね。」


そう言って私の隣に腰掛けた。


「そうね。気持ちいいね。」



「毎日ここで昼寝ですか?目覚ましかけて、ンフフっ」



少し色っぽい独特の笑い方をする笑顔が眩しかった。



「これ、良かったらどうぞ。」


彼女が差し出したのは、桜の花びらを押し花にした栞だった。



「それは去年の桜で作ったものなんです。」


裏返してみると隅に小さく2005.4と書いてある。



「・・・ありがとう。」



「いえいえ。じゃ、また。」




その女性は、微笑みながら立ち上がって手を振りながら下へ降りて行った。



今日の風は 本当に暖かい。

ポカポカ陽気で見る桜景色は最高だった。




春の風は

忘れかけていた気持ちをも運んでくれたようだった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ