Miyabiの図書室
□冬の音色とともに(1/27更新)
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私の母は、里子ちゃんにとても優しく接していた。
運動会、遠足、いつも家族がこない里子ちゃんに必ず声をかけた。
運動会になると、父と母、私そして里子ちゃんで運動場脇の銀杏の木の下に敷物を広げ
ワァワァ騒ぎながらお弁当を食べたものだった。
里子ちゃんはいつも笑顔を絶やさなかった。
だから私は、里子ちゃんが家でどんな生活を送っているのか知るよしもなかった。
ある日突然、里子ちゃんが保育園にこなくなった。
私は寂しいと母や先生の前で毎日泣いた。
特にお残りの時間になると、銀杏の木の下で一人うずくまるように泣いていた。
母も先生も何も言わず、ただ抱きしめてくれるだけだった。