Miyabiのティールーム

□恋暦(2007完結)
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「灯」(過去への最後の呟き)


君が 傍にいすぎて

君をいつの間にか見失っていた


いつも私の後ろ姿を追いかけて


何処にいるのと捜す君を省みず


前を向いたまま

振り返りもしなかった



「あの時、ただ抱きしめて欲しかったのに」と

梅雨の雨と共に君の流した涙の重みは

胸に深く刻まれた

君の笑顔よりも 深く




ようやく辿り着いた

温かな場所で



その笑顔が

心からの笑顔であってほしいと



そして何よりの願いは


一時の感情に流される事なく

燃え上がる炎が鎮まった時

そこに

時間がたっても消える事のない愛の灯を見つけたら


その築き上げた灯を

大切にして欲しい




心に溜める事なく

その人に向き合って

その人の愛の深さを感じて

二人で歩いていって欲しい


灯は

吹き消せば簡単に消えてしまうから



一人じゃ

消えてしまうから



真の愛の灯なら

二人繋がれた掌で

守って


そこに永遠が見えるから



お互い

それぞれ歩みだした道


二度と見失わないように




あの時はもう戻らないから

それは

お互いわかっているはず




私は 

今ある灯から

二度と目を逸らさない



消えそうな灯なら

油を挿して 燃え上がらそう



強い風が吹いて 消えてしまいそうな灯なら

二人の掌で囲いを作ろう



私の全てを賭けて その火を守ろう



あの時と

同じ過ちを繰り返さないように



だから貴女も

二度と逃げないで



灯を守りつづけて・・・
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