小説

□月に恋した狼
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月が好き。っていっても、月はいつも雲の上。いくらジャンプをしようと届かない。わかりきってるからこその諦めだ。
でも、月にいる兎はどうやって月に向かったんだ?











月も雲に隠れ真っ暗な夜だった。私は、村から出たくてこんな夜の日にこんな山にいる。村は山にかこまれて、山を越えるしか外に出る事はできないのだが、この山はとても急で、よく目をこらさないとすぐにでも滑り落ちそうだ。
私はいわゆる鳥目な方だから、ここまでくるのにも苦労した。
・・・私がなぜこんなに今までの事を振り替えるのか。
・・・それは、私が疲労でつい足を踏み外してしまい、急な坂をこえ崖から落ちそうだからだ。せっかくのぼった道から外れ、どんどん落ちていく。草木はつかもうにも暗くてつかみそこねる。
持っていたちょうちんが不意に手から離れる。蝋燭が倒れたのか、いっきに燃え上がりはじめた。
「山火事になる!!」
崖は間近。だが、山火事になる方が心配だった。
そのとき。
「山火事になったらどうする!!」
体が止まった。

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