【黒き風の伝説】
番外:雪かき

-side ヒロイン

 あー、さぶいさぶい。雪が降るまでって、なんでこんなに寒いんだろう?
 雪が降って喜ぶなんて、子供だけなんだよね。

「あー、寒い」

 手をすり合わせていると、後ろから似たようなことを思っている声が聞こえてきた。
 振り返ればイルカ先生だ。

「イルカ先生、お疲れ様です」

「あ、お疲れ様です。最近、冷えてきましたねぇ〜」

「ええ、まったくです。雪ももったいぶらないで降るなら降ってほしいですよ」

 空を見上げれば、雲間に見える青空。雪にはまだちと早いようだ。
 一度降ってくれれば冬の覚悟ができるというのに。

「今週辺り、降りそうですよ。俺、今週が雪かき当番なんです。そんなに降らないでほしいなぁ」

 イルカ先生は苦笑交じりにぼやいた。

「火遁でサッとやっちゃえば一瞬ですって」

「いやいや、忍術なんて使ったら周りまで被害が及びます」

「大丈夫です。積雪8cm以下なら超低空飛行で鳳仙火の術を使うと楽ですよ」

「……は?」

「へ?」

 イルカ先生が心底驚いた顔をするからこっちまで驚いてしまった。
 私、なんか変なこと言った?

「……そんな器用なことできるの、貴女くらいですってば」

 イルカ先生に呆れられてしまった。解せぬ。
 と、いうことがあったとカカシさんに伝えたら

「イルカ先生が正しい」

 と、言われてしまった。

 解せぬ。
 






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