その他短編

□雨のち虹空!
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手を伸ばせば届く距離だって、  君も私も、気づかない。


だけど、気づくまで近くに行くことも  出来ないんだ。





その日は、朝からずっと雨だった。
何時もの目覚し時計の音すら掻き消してしまう様な、豪雨。

だけど台風というには弱すぎる雨。


そんな雨は、時計の針が二本とも真上を向く時間にはしとしとと心地の良い音を奏で出す。


もうすぐ止むかな、なんて思って、早めのお昼ご飯に使った皿をカチャカチャと音を立てて洗う。
ふわふわの白い泡が手首に纏わりついて、少しくすぐったかった。



きゅっと蛇口を捻って流れていた水を止める。
その瞬間に、タイミングよく家の扉がとんとんと優しく叩かれた。


「はーい、今開けますっ」

「あ、こんにちは、チェルシーさん…」


ゆっくりと扉を開くと、其処には色鮮やかな傘を片手に満面の笑みを浮かべて立つ青年。
名をマルクという彼はそっと開いた瞳にチェルシーを映した瞬間に
空いていた片手を顔にまで持ち上げぱっと顔を背けて肩を震わせる。


「え、え…?」

「ふふっ…、あ、御免。もしかして、さっきまで洗い物でもしてた?」

「うん、してたけど…。何でわかったの?」


彼の顔に当てられていた手が優しくチェルシーの頬を掬うように一撫でする。
再び彼の元へと戻っていった手の平には、ふわふわの泡が一つ。

これ、付いてた。と笑う彼にかぁっと撫でられた頬が火照る。


「そ、それで…今日は、私に何か用事…かな?」

「あ、そうだった」


ぽん、と軽く傘を持つ手にもう片方の手を重ねて、用件を思い出したらしい彼を
じっと見つめて不思議そうに小首を傾げるチェルシー。
傘を持つ手に添えられていた手は忙しそうに、今度はチェルシーの手を握り締める。


「ほら、傘持ってっ」

「わ、わ、待ってよ…!」


握られた手がどうも熱を帯びてきている。
それに、慌しく跳ね出す心臓はこの手と同じ、ぎゅっと掴まれるみたいだ――なんてチェルシーが思っている間にも彼は早く、と催促する。

空いていた手に淡い色合いの可愛らしい傘を持って、小雨が優しく降り注ぐ中、彼に手を引かれながらチェルシーは自宅を後にした。








「で、此処…は?」

「ん? 見ての通り、海だけど」


走って走って、着いた先が海。
そこまで急ぐ理由や此処に連れて来られた理由が分からずに質問をしたチェルシーに「変なチェルシーさん」と笑いながら返した彼は、
相変わらず繋いだ手を離すことはなく、ただ砂浜に立って、雨粒が落ち、波紋を作り出す海をじっと眺めている。


それからというものの、唯会話を延々と続けるわけでもなく、帰るわけでもなく、手を離すわけでもなく、
唯々寄せては返す波をじっと見つめながら、このゆっくりとした時間を過ごす。


しかしその時間は退屈などではなく、寧ろチェルシーにとっては短いものだった。
ああ、何故自分はこんなところへ?
何故、彼は私を此処へ?
何故、此処へ立っているのだろう?

そんなことを考えていると、時間はあっという間に流れていってしまった。


そんな時間に終わりを告げるときが来たのか、ぱらぱらと降っていた雨が止んでいき、空が晴れていく。

それに気づいた彼が「あ、」と小さく声を挙げて、傘を降ろす。
どうしたのだろう、とチェルシーも続けて傘を畳むと、次の瞬間には「わぁ」と歓喜の声を挙げていた。


「凄い…! 私、こんなに大きな虹を見るの、始めてかも」

「へへ、でしょ? 僕も、この前の雨の時に此処で虹を見てさ。今日も若しかしたら、って思ったんだ」


凄いね、と彼のほうを振り返った時に見た笑顔があまりにも眩しくて、
少しドキドキしてしまったことは、今はまだこの胸の奥に――しまっておこう。





【雨のち虹空!】
(繋いだ手と手を虹と繋げれば、)(きっとそれは、大きな輪になる)
(さあ、勇気を出して、君と手を繋ごう)(きっとそれは、新たな一歩になるだろうから)



+ + +

さあ皆様ご一緒に。ラヴッ、スティィィィィィ(殴)
どうも、おはようこんにちこんばんは。ド●キラ同時プレイ中な乃島です。

今回は渚様リクエストのマル→←チェルのはず…だったのです、が、
マル+チェルみたいに…!orz(時間と出来栄えが合ってない気が)

兎に角マルクを弟に! チェルシーを姉に! と、何故だか思考がそちらばかりに行った結果です。多分。
でも多分そろそろチェルシーが恋心に気づいてくれるので、やはり最終的にはマル→←チェルになってくれるかと(…。)

…っていうか最初と最後が意味不明。――いや、既にこの後書きすら意味不明。(寧ろ乃島の存在自体意味h/ry)


えーと、苦情は渚様のみ、です。おおおおお手柔らかに!((


ではでは、今日はもうド●キラを思う存分やって明日の体育に備えようと思います。(体育なんて嫌いだもーん/御前)
参照突破記念コメントはまた今度…!
それでは皆様、ラヴッ、スティィィィ(ry) 乃島でした!


…という掲示板のとうk(ry)


2009.08.11 音成 舞綾(転載日時)

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