その他短編
□苦さすらも甘いキスで
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苦くて甘い、チョコレートみたいな恋はいかが?
少し寒くなる季節。
それは、秋から冬の間の日のことだった。
動物屋に黒い帽子の青年と赤いバンダナの少女がやってくるのは毎週のこと。
必ず、青年――ヴァルツの仕事に少女、チェルシーがついてくるのだった。
何時も通りの仕事。何時も通りの会話。
付き合ってると言ってもそれらしいことなど一切無い、普通の日常。
そんな当たり前が変わるのは、ほんの些細なことだった。
「チェルシー、これ食べるか?」
「何?」
チェルシーの目の前に差し出されたのは銀色の紙に包まれた薄い『何か』
彼女はじっと、不思議そうにそれを見つめながら首を捻る。
それは果たして何なのだろうか。見た感じではよく分からないがどうやら食べ物なのだろう。
そんなチェルシーに一瞬だけ視線を向けて、また直ぐに逸らしたヴァルツは続けてこう言う。
「チョコレート。俺は要らないから」
「チョコ!」
ヴァルツが言葉を言い終えた直後、若しくは少し重なってしまったかもしれない位に早くチェルシーが反応してみせる。
パン、と乾いた音を立てながらチェルシーが両手を合わせる様に叩く。
彼女はチョコレートが好物だった。ミルク、ホワイト、ビター…その種類は特に決めてなく、全てのチョコレートが。
「くれるの? ありがとーっ」
「だから、俺は要らないから…。お前だったら、食べるだろう?」
「うん。ちょうどお腹空いたし頂きますーっ!」
銀色の包装を丁寧に破っていく辺りが彼女らしかった。
そう思ったヴァルツは基本的に、ああいうのはあまり気にしない方だった。
そんなことを考えていると、チェルシーはチョコを一口頬張って――そして顔を歪めていた。
「う、苦い…」
「甘くないチョコレート、と言っていたしな」
「何で言ってくれなかったのよー」
こういうのはお菓子にした方が私は美味しいと思うのになぁ、とチョコレートを見つめながら呟くチェルシーにヴァルツは薄く笑いながら答える。
最初に比べると大分仲は良くなった。だからこそこうして笑ってくれるんだと分かってはいるものの、やはり笑われるのは少し悔しい。
チェルシーはそんなことを思いながら酷いなぁ、と少しヴァルツを睨んだ。
むぅ、と頬を膨らませて唸り、そして自分を睨んでくるチェルシーの頭にヴァルツはポンポンと手を乗せる。
そんな時、チェルシーが何か思いついたのか少し微笑んでみせる。
「ね、ね、ヴァルツ!」
「なん……っ!?」
チェルシーがまるで悪戯を思いついた子供のように笑む。
そんなあどけない表情を浮かべたまま、彼女は一口チョコレートを齧って――自分のそれをヴァルツの唇に重ねる。
瞬間、口一杯に広がる苦い味。
だけどそれは何故か苦いと感じなくて、寧ろ甘いとも言える――不思議な味。
たった数秒がやけに長く感じた。
直ぐに離された唇はチェルシーの整った顔で弧を描く。――彼女は、笑っていた。
先程のような子供っぽい笑みでなく、大人っぽく妖艶な笑み。
「あは、ヴァルツ真っ赤だよー?」
「う、煩い…」
「あんまり苦くなかったね。これなら全部食べられそう」
赤く染まった顔を隠すように別の方向を向いていたヴァルツがバッとチェルシーの方を向く。
相変わらず、彼女は笑ったままで冗談。とだけ小さく言った。
当たり前が変わるきっかけなんて、ほんの些細なこと。
でもそれは、確かなものを変えてゆく――
【苦さすらも甘いキスで】
(でもこれ、ホントに苦い…)(料理すればいいんじゃないか?)(じゃあ、作ったら一緒に食べよーっ!)(…普通に食べるなら、)
+ + +
A,MEEEEEEEEE!(机バンバン)
ちょっと甘いの目指してたらほの甘、若しくは甘になってしまいました!
…激甘?こんなもんじゃないですよ(爆)
流石に微裏は自重しますよ? それ位は出来るもん!(不振人物はっけーん)
それにしても春です!春ですよ、皆さん!――ス●スカの春は良かった(またお前)
何で季節が真反対なのでしょうか。不思議ですね(…。)
それと、この場であるからこそ言ってみますが、
たまには攻めてもいいじゃないか!(帰れ)
ヴァルツってこんなのでしたっけ。やばい、色々忘れてます! 誰か文才プリーズ!←
それにしても、やっぱりほの甘って書きやすいなぁ* あ、一応補足ですがこの子等(Σ)恋人設定、です!
今回はデレ全開ーを目指したのですがこれデレなのかしら(誰)
ちなみにジュリア姉さんとマセルさんは不在ですよー(かなり今更)
ではでは、此処まで読んで下さり有難う御座いました!
…と、いう某掲示板の投稿でした。←
2009.5.2 陽心 真珠(転載日時)