これで何日連続だろう?
病室の窓に叩きつけられるような激しい雨。カレンダーを見れば、翌日の7/7を花丸でチェックしてある。

黒ずんだ空からは激しい音と共に雷の稲妻まで現れ、私の口からも無意識に溜息も漏れる。



「はぁ…今年もまた雨か…」


幼いころからの病気のせいで、雨が降ると私は病院の外に出られない。だからもう、何日も外の新鮮な空気とは触れ合っていない。
窮屈な部屋に閉じ込められているという居心地の悪さと、会いたいのになかなか会えないというもどかしさ…私の心も土砂降りになりそうだ。



「浮かない顔してどうしたんだ!?」



威勢のいい声にドアをみれば、そこには花を持った了平が立っている。



「了平!!やっと来た…。」



愛おしい姿に笑みが零れた。



「悪い悪い、なかなか部活が進まなくてな。雨だとロードワークも出来なくて不便でしょうがないな!お、お詫びにこの花をやろう!さっき買ってきたのだ!」


照れくさそうに笑う了平は、持ってきた花を大切そうに花瓶に生けた。


「こんな雨なのに、ありがとう…」



薄っすらと笑う姫の手元には細い紙切れが置いてあった。



「これは何だ?」


「あぁ、これは病院の笹に吊るす短冊。さっき看護婦さんが持ってきたの。」


了平が短冊を見ると、そこには
“私たちを雨なんかで会えなくなるような織姫と彦星にしないで…”
と弱弱しい字で書いてあった。



「そういえば去年の七夕も雨だったなぁ。」


了平は思い出したように言う。
確かに去年も雨が降り、静かに窓から空を見上げる姫に了平が告白したのだ。



「俺たちは雨でも会えるし、これからもずっと一緒だ。だからそんな顔するな。」



暗い表情の姫の頭を撫でれば、安心そうに姫は笑った。



「じゃあ、明日もまた会えるかな?」



「当たり前だ!!雨なんか極限に吹っ飛ばしてやる!!」



いつの間にかに広がった了平と姫の幸せそうな笑顔に、窓に叩きつける雨の音は弱くなっていた。




I Believe
〜明日は晴れるはず〜




(雨がやまなくても、晴れない空なんてない)


0407



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