□例えばこんな趣味
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「じゃあ、なんだってこんな所にいんのよ?」

「任務、ですよ。
もう完了しましたけどね」

「任務…ってもしかしてあんた!
昨日のアレ、やったのはゼロスね?」

おそらくリナさんは昨日僕が破壊した寺院の事を言ってるのだろうか。

「それは…」

「秘密なんだよな、ゼロス」

にこやかにガウリイさんにセリフを取られてしまう。
これはかなりストレスたまりますね…。
精神生命体の魔族にとってストレスは命取りになりかねない。

「まぁったく!
仕事終わったならさっさと獣王の所に帰んなさいよね」

にゃあ…

そこへ突然一匹の猫が僕達の近くに来た。

「可愛い!おいでおいで」

リナさんはしゃがみこむと猫の頭を撫でる。

「あんた野良?
それにしては毛並みいいけど…あんた美人ね。
姉ちゃんなら絶対に飼ってるかも」

頬を緩ませながら「立派なおヒゲですね〜」などと猫に話し掛けるリナさん。

「随分と態度が違いますね、僕は猫以下ですか」

「まぁ、気にするなって!
リナはあれで案外動物好きだし優しい所あるんだよ」

「はぁ…」

ガウリイさんは僕の肩に手を乗せて笑っている。
しないんでしょうか、ガウリイさんは。

嫉妬、というものを。

いや、猫相手に嫉妬するのもどうかと思いますが。

僕は猫を殺気のおまけつきで睨み付けた………ら。

一瞬、僕のそれを上回る殺気が辺りを支配した。
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