■
□冥王の要求
2ページ/6ページ
「わかるだろ、ガーヴのヤツを始末したいんだよ僕は。
けど、1000年前に僕の部下は皆滅んじゃってるし、君のところの神官は他のヤツの将軍、神官よりかなりの力をもってるからさ。
まあ、それでもガーヴに適わないのはわかってるけどね。
でも僕は色々と忙しくてさ…
だから手足になるヤツが欲しいんだ」
獣王はペラペラ喋る冥王の話を黙って聞いていたが、
「お前も知っての通り、私には神官ひとり…ゼロスしかいない。
将軍ははじめから創ってないしな。
すぐに動ける部下がいないと私も不自由するんだ」
と尚も断る。
「ふぅん、じゃあ君はこのまま裏切り者のガーヴと部下をのさばらせていいと言うの?
もしゼロスを貸さないなら…僕は君も反逆者とみなすよ」
獣王は考えをめぐらせる。
しかしやがて、ふぅ…と獣王からため息がもれた。
「…わかった、ゼロスを貸そう。
しかし、今ゼロスはここにはいない。
任務を与えてるのでな。
戻りしだい、お前のところへやろう」
諦めたように承諾した。
冥王に目を付けられたら厄介だ。
赤眼の魔王シャブラニグドゥの腹心の内、最も力があるのは冥王フィブリゾである。
仲間内でドンパチするわけにもいかず、獣王はこれを承諾するしかなかったのだ。
渋々承諾したのを聞いて、冥王は明るい顔で笑うと、
「ありがとうゼラス。
裏切った部下は始末しておいてあげるからね。
よかったよ、君が敵に回らなくて」
と言って姿を消した。