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□躊躇の意味
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「最期にもう一度…
魔族になりませんか?リナ=インバース」
恐ろしく冷たい瞳がリナを見据える。
「っくっ…い・や…よ」
リナは弱々しくはあったが、舌をべぇ、っと出すとハッキリ言った。
「お願いです、YESと言ってください。
でなければ僕は貴女を本当に…」
「あなた、魔族でしょう…
人間1人殺すのに何故そんなに躊躇するのよ…
ガウリイを…皆を殺した時は少しも躊躇しなかったじゃない」
「躊躇…」
ゼロスは一瞬訳が分からない、そんな顔をした。
「この僕が躊躇…?」
しかし、それ吹っ切るかのように錫杖を振り上げる。
「これでおしまいです、リナ=インバース」
言うと錫杖でリナの心臓を貫いた。
「僕が躊躇してる、なんておかしなこと言うからですよ。
…あぁ、もう聞こえませんね」
リナだったモノを冷たく見下ろしながらゼロスはつぶやく。
「何なのでしょう?
初めてですよ、こんな感情は。
殺すのが惜しかったのでしょうか…それとも?」
困惑気味に開かれた紫色の瞳が僅かに揺れた。
「任務、完了です」
ニコリと笑うとゼロスはその場を後にした。
ゼロスは自分がリナ抹殺を躊躇した理由も、瞳が揺れた理由もわからない。
――――彼は魔族なのだから。
―END―
2008.09.09
いきなり死ネタ。
ゼロスはリナが気に入ってるけど、命令があれば平気で命を奪うんですよね。
残酷なゼロスは好きです。
夢にしようか迷ったけどリナ達に犠牲になっていただきました。