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□例えばこんな趣味
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「ちょっとガウリイ!それあたしの肉でしょうが!」
「早いもん勝ちなんだよ!」
僕がひとつの任務を終えると、聞き覚えのある声がした。
そちらを見やると案の定。
リナさんとガウリイさんが食べ物争いをしていた。
「相変わらずですね、リナさん」
僕が声をかけると、あからさまに警戒し、嫌そうな顔をされてしまう。
「そんなに嫌そうにしなくてもいいじゃないですか」
「アンタが出てくるとロクな事ないんだから当然でしょ!
じゃあねっ!行くわよ、ガウリイ!」
「お、おう。じゃあな、ゼロス」
食事を終えたリナさん達は逃げるように僕から離れていく。
「今回はたまたま通りかかっただけなんですがねぇ」
ひとりごち、リナさんのあとを追う。
「何でついて来るのよ、アンタは!」
「そう邪険にしないでくださいよ。
今回は裏はありませんのでご安心を」
ニコリと言ってやれば半信半疑、と言った顔のリナさん。
どうせ「魔族の事なんか信じられるワケがない」とでも思っているのだろう。