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□躊躇の意味
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「リナさん、決心はつきましたか?」
今は夜。
ひっそりとした林の中、ひとり野宿をしていたリナのところに闇から現れた一体の影。
「…何度聞かれても答えはNoよ」
リナは臆することなくハッキリ言った。
いや、恐れていたかも知れない。
けれど、それを悟られるようなリナではないのだ。
「…そうですか……残念です。
ではその命、奪わさせていただきます」
「そうはいくもんですか。
簡単に負けてあげると思ったら大間違いよ!」
間合いを取り、呪文を唱えはじめる。
リナとて、並大抵の魔術でゼロスを倒せるとは思ってはいない。
「無駄ですよ、それは貴女が一番よくわかってるはずです」
「煩いわねっ!
このまま死んだら皆に会わせる顔がないわよっ!」
―――しかしゼロスに適うはずもなくリナは窮地に陥っていた。
「所詮は人間…こんなところですか」
ゼロスはつまらなさそうにつぶやく。
「…ま、人間にしては上等ですか」
リナはもう起き上がる力などなく、仰向けに倒れていた。