二年目。

□8th
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伝わった思い
15年越しのこのつきあいは
今更言葉にするのが恥ずかしいぐらい

【8th:Can you keep a secret?】


素直になるということは
凄く難しいことで
ありのままを伝えるということは
それより困難なことである


達「もう1回〜。なぁ、お願い〜」
「嫌じゃ!一回しか言わんって言ったやろ!」
達「うぅう〜」
「あと・・・このこと、誰にも秘密な?」
達「なんでなん?いいやん晴れて俺らは恋人同士なんやで?」
「そ、そんな直球言うな!
あんなぁ・・今、私たちは大事な時期で・
いらんことで騒ぎたくないんや。
だから・・その・・こ、こ、こい・・」
達「恋人?」
「そ、そう、それを茶化されたくないんや」
達「えぇー」
「怖いねん・・・。やっぱり、恋をとったって言われるんが」
達「・・・美空。」


素直に恋をしてはいけない
ましてやそんなことしたら
批判されるに決まっている


達「そんなことない」
「達也はそう思っても、世間ってそんなものや・・私は、私のことで達也に迷惑かけたないんや」
達「迷惑なんて思ったことないねんけどな・・・むしろ、迷惑かけてほしい。
遠慮せんといて、俺は美空に頼りにされたいから。」



いつもいつも、そうやって優しい達也に甘えてきた
だから美空はコレだけは迷惑はかけたくなかったのだ。



「でも、ナイショはナイショ。」
達「うぅ・・・」
「いい?」
達「わ、わかった」

美空の強い後押しに達也は少し戸惑いながら頷いた。
美空は苦笑いをしてしばらく、そよ風をその身に受けながら自分の生まれ育った町を見下ろしていた。
ふと、達也が美空の横顔を見ると
さらさらと髪が風に優しく揺れ
美空の顔は少女から大人になりかけていた。

達「(か、可愛い・・・。それに、綺麗)」

達也は思わず見惚れてしまった
それに気づかず美空は優しい表情で町を見つめている
そして口を開いていった


「達也・・・・。ずっと、ずっと私なんかを好きでいてくれてありがとう。」
達「!?・・・み、みそら!?」

不意打ちの美空の言葉に達也はたじろぐ
無意識のうちだろうがそれは達也にとってはうれしい言葉だった。


「さ、帰ろう。ぼーっとするな!」
達「え?あ、うん。」
「遅く帰ったほうが晩御飯おごりな!
よーいドン!」
達「え、ちょ、ズルイ!ま、まって!」
「達也の家のお好み焼きおごれよ〜」
達「美空〜」


走り抜けていく二人の背中
まるでではない本当の恋人たちが追いかけっこしているように、家路に急いだ。










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