二年目。

□6th
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近づけば離れ
離れれば近づく
この距離を・・壊したくないがために


【6th:崩れてゆくこの距離感】


「た、達也」
達「・・・」

達也は美空の腕をつかんだまま放さない
しかも言葉を発しなかった

「達也!・・い、痛いから・・」
達「あ、ごめん・・」

達也は気がついたように素早く美空の腕を放した
さっきまでの怖いオーラは吹き飛んでいたのに、表情は決して笑っていなかった


「ごめん・・私・・邪魔したね・・」
達「・・・」
「あの人の言う通り・・。私、あんなに可愛い服似合わないし、胸もないし、女らしいところなんてないし
だ、だから・・達也が怒ること・・」
達「違う。美空は、どんな美空でも可愛くて。俺の中で一番なんや。
外見だけやない中身やって俺には持ってないもの持ってる。」
「・・・持ってるって」
達「俺は、ほんまは弱虫で、卑怯者でせこい性格やのに美空は俺を見捨てんかった」
「そんなこと、」


ない、言おうとする美空を達也は抱きしめた。
美空は必死にもがくが今日はすんなりと放してはくれなかった

達「さっき、美空が来てくれたときうれしかった。
嫉妬してくれたと思って、俺のこと思ってくれて来てくれたんやと思って
俺は今しんでもいいと思ったぐらいやもん」
「あほ」

ポンと達也の胸を押す

「あんたが死んだら、だれが私の球捕ってくれるねん。」
達「っ!!!」

美空の褒め言葉に、達也は脳みそが一瞬フリーズして
嬉しすぎて本当に失神してしまいそうな達也。

「た、達也?」
達「もう1回、言ってくれへん?」
「達也?」
達「その前の言葉・・」
「え、あ・・アンタが・・って何回も言ったらへるからあかん」
達「そんなこと言わんとぉ」
「そ、それに・・大事な言葉って言うのは・・
と、時々言うからええんやろ?」
達「・・・うぅ」
「へこむなばぁか」
達「はは、でも・・ありがと。
めっちゃ自信でた」
「うん・・」


美空は少し照れながら、
さっさとブルペンへ足を運ぶ
達也はそれについていった。








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