二年目。

□5th
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気づきたくなかった
気づかないふりをしていた
だって、アイツのこと
どこかで意識していたから。

【5th:気づかないフリ】

腕が熱い
あいつの言葉が頭から離れない。

「あほ」

ベッドに転がり抱き枕を抱きしめた。
一人部屋にはカチカチと時計の針の音が進むだけ・・・

「(どうして、あの時、心臓がバクバクした?)」


まるで、喜一さんのこと考えた時と同じだ
いや、そんなことない。
そんなことありえない。


「あいつにかぎって・・それはない」

十何年も一緒にいる幼馴染。
隣にいるのがあたりまえ
いつも一緒にいて、いつも一緒に野球をしてた。
隣にいなかったらそれは不自然に思えるぐらい、
相手の好きなところ、嫌いなところ全部全部知っている。
今更好きだとかそういうのはありえない。


「だって、私はもう・・・」


恋はしないって決めた。
野球に支障が出るし
自分に支障が出れば達也にも迷惑がかかる。



「きっと気のせいだ」

そう決め付けて
美空は眠りについた。




――――


『み・・ちゃ』

なぁに?なんていったの?

『し・・バ・・ふう・・なんだって』

え?


ジリリリリリリ――――――。



「はっ。」


目覚ましの音がやけにうるさかった。
いつもは目覚ましがなるちょっと前には起きているのに・・


「うーーー、眠い」


昨日先発登板で疲れたのか知らないが
やはり疲労はあるもので・・・


「(もうちょっと寝たいな・・・)」


目を瞑れば一瞬にして夢の中に入ってしまいそう。
しかしインターホンの音がそうさせない


「あ、・・飯・・つくらなきゃ」


インターホンを押した人物は想像できる。
おそらくというよりあいつしかいない。
美空は若干気だるい体を起こし玄関へ向かった。








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