二年目。

□1st
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さぁ今年もスタート。
体に不安は残るけど
乗り切ってみせる。
この新しい必勝球で


【1st:さぁ、試練の扉は開いた。】



「今年も、がんばってみせる。」
里「えぇ?今年も何か持ってるの?
何々?新しいこと始めるの?」
「あっ、静香さ・・いえ、なんでもないですよ!
今年は、ほら、二年目ですから。ね?
もっと気合入れていかないとって思って。」
里「そう?」
「はい。そうですよ・・ははは(危ない危ない、うかつにしゃべってはいけない)」

美空はそれなりにポーカーフェイスを決めて逃げるように練習場に向かった

「(達也は打撃練習終わったかな。)」

時間通りに行っていればもうそこには達也が居るはずなのだが・・
まだきていないようだった。

「(しかたない、少し待つか)」

ストレッチがてら少し伸びをした。
すると体がすこしぐらついた

「(最近多いな・・。マウンドに立つといつもそう)」

自分でも不思議なぐらい、いざピッチングを始めようとすると体のバランスがおかしくなる。
ぐらぐらゆれて、気持ち悪い。
ふだんはこんなにも元気なのに。


「(倒れてからおかしいよ私。)」


達也にはもちろん言う気もない。
これ以上彼の負担になるようなことは言いたくなかった。
二年目という年はプロにとって難関な年。
去年のようにうまくはいかないって分かってるから、もう彼に頼りっぱなしではいけないと思った。


達「おー!遅れてごめん。さ、はじめよっか」
「おう、遅かったな。」
達「へへ、ちょーと特訓してたから」
「そっか」


(いつものように振舞えているよね)
若干めまいのする感じを振り切ってマジシャン顔負けのポーカーフェイス。
美空はこのオフシーズンでそれをみにつけたようだ
達也に心配かけないように
達也が楽しく野球が出来るように


達「さ、はじめよっか」

達也はそう言って白球を美空に投げた。
それはパシッと音を立てて美空のグラブに収まった
美空はにっと笑ってフォームをかまえ、達也のミットめがけて投げた。
いつものように
いつもの・・・速く鋭い球を。




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