platinum Beautifulsky

□19
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ただあの時泣いた

『いたいのいたいのとんでいけー』

あぁ、可愛い。

イ ト シ イ ボ ク ノ ミ ソ ラ


【act19:restart】

しばらくして美空は無事退院した
今でも心配やけど、美空は心配するなと言う

そして美空は今日も笑って一緒にトレーニング
その笑顔は太陽のようにまぶしくて
可愛くて、愛しくて
その笑顔が全部俺に向いてたらいいのになんてたまに思う

昔から美空は誰にでも優しかった
俺だけやなかった
でもそれでも良かった
美空は俺だけのものやなかったから



達『いたいよ、もう・・いや・・いたいもん』
『どれ、みせてみ』


小さいころランニングのときにこけて少しすりむいたひざ
俺はそんなことで泣きじゃくってた
今考えれば小さいころは泣き虫やったと思う

そんな俺をいつも美空は魔法をかけてくれた


『いたいのいたいのとんでけー』


そう言うと本当に痛くなくなった気がした
魔法のような呪文だった

『もういたくない?』
達『うん』
『じゃ、いこっか』

そういってまたランニングを始める
あのころが懐かしい


今ではめったなことで泣かなくなった俺
逆に美空が泣いてるほうが多くなったかもしれへん
そうあの日から・・
美空は涙をこらえている。

そとの痛みじゃない心の痛みが美空を襲うことがあるけど
美空は表ではめったになかへん
かわりに裏では思いっきり泣いてる
ニコニコ笑って人に元気をあげてる

だから・・この前みたいに倒れるのに・・ 


『いたいのいたいのとんでいけ』

『おやまのむこうへとんでいけ』

心にそういえたなら
美空の胸の痛みは消えるんやろうか



「なんやねんぼーってして」
達「お!おぉ美空!!」
「ったく。走るで」
達「わかった」

走っていく美空の後を追いかけ用としたが解けた靴紐を踏んでしまいこける
イテッなんていえば美空がそれに気づいて俺のところへ戻ってくる

「あほちゃうか」
達「ひどいー、ちょいまって靴紐結びなおすから」
「はいはい」
達「あーあ、あごすりむいた」
「どれ、みせてみ」

ほんまや、なんて美空はすりむいたそこをみつめる

「じっとして、」
達「?」
「『いたいのいたいのとんでいけー』」
達「!?////」

おもわず赤面してしまった


「はは、なーんてな。ほら、行くで」
達「うんv」

美空が手を伸ばしてくれる
その手をとって立ち上がる

「・・・そのさ、」
達「ん?」
「元気・・でた?」
達「っ!?」

たぶん自分は口を大きく開けてポカーンとしてるんだろうな・・

「いや、その・・達也、なんか最近元気ないし・・さ
普段やったら、あほなことも・・言ってくるのに、
なーんか病院で目覚めた時からそっけないと言うか・・壁があるというか・・
突き放されてるというか・・
気のせいかな・・ごめん
あ!そ・・そんな深い意味はないで
別に、その、かまって、ほしいとかないから・・」

視線をきょろきょろする美空
その姿がかわいくてかわいくて
それよりも
美空が俺の心配をしてくれることがなにより嬉しかった
美空にもわかるほど俺は何を悩んでいたんだ
ほんとに俺はバカだ

達「心配かけたな・・ごめん」
「いや、だから・・別に・・・!!
って抱きつくなあほ!」
達「美空。世界で一番愛し・・・」
「だー!!!!!うるさい!!!ばか!ばか!」

美空は俺を引き離して先へと走っていく
俺はその後を追いかける





愛しいあの子の背中を。






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