platinum Beautifulsky

□act18
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雨は嫌だ
あの日のことを思い出すから

【act18:心をつかむ亡きあの人】

病室に規則正しい機械音が鳴っている。
白いベッドに横たわるのは落ち着いた寝息をたてる美空。


医者「もう、大丈夫でしょう。
ただしばらくは検査のために入院していただかないと」
母「ありがとうございます。しかしどうしたんかな、こんなこと幼稚園以来やで」
父「たしかになぁ・・」

達「美空・・」

医者「最近、白金さんがストレスを感じるようなこととか、トラウマを呼び起こすようなことを行ったことはありますか?」

達「それなら。」

思い当たる節がある
それは″飛んだ日”である
美空にとってはトラウマそのもの
だがシーズン終了まで日にちはあったはず・・

達「美空は・・途中で逃げるのは嫌いなんです。
だからシーズン中は持ちこたえたんでしょう」
医者「それが原因かもしれませんね。」

そう医者が言うと寝ている美空の表情が変わりだした。
苦しそうに眉をゆがめる。


「う・・あ・・いや!」
達「美空!!?」

目を開き必死に何かをつかもうと上に伸ばす手を達也が掴み取り握り締めた
達也の呼びかけも美空には届かずうわごとを言っている

「あめ・・とらっく・・
き・・いちさん。喜一さん」
達「!」
「きいちさん・・ど・・して・・」


先に逝ってしまったんですか

美空は涙を流して再び目を閉じる
手も力が抜けたが達也はずっとその手を握り締めていた


医者「喜一さんとは誰ですか」
達「・・・」
父「美空が中学二年のときに亡くなった親しい知り合いです。」
医者「そうですか・・。」
母「娘は本当に大丈夫なんでしょうか」
医者「どうともいえません・・本人の意識がしっかり戻ってからじゃないと何もいえません」


医者もわからないと告げた。

達也は美空の手をずっと握り締めていた



達「美空・・」


〈ごめんな・・俺が・・ちゃんと支えとったらこんなことにはならなかった。
俺があそこで監督にやめるように抗議すればよかった
ほんまに・・・ほんまにごめん)







窓の外はぽつぽつと雨が降り出していた


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