はろー はろー
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「紗羽、最近1年の切原くんに懐かれてるよねー」
次の授業へ移動の際に昇降口の前を通ると、体操着姿の1年男子達が出て行くのを見たさっつんが思い出したように言った一言にわたしも何故だろうと考えてみた。
確かに最近よく声も掛けてくれるし、何より慕ってくれてるみたいだし。
「紗羽せんぱーい」
噂をすればなんとやらと、本人が現れた。
「俺、今から体育なんすよー
見ててくださいねー!」
そう言うと、手をブンブン降りながらも「絶対っすよ?!」と返事を求め何度も振り返り走って行く切原くんに、前を見ていないのでこっちがヒヤヒヤしながらも手を降ると嬉しそうに走って行った。
てか、わたしもこれから授業なんだけど……
「切原くんって可愛いよね」
「格好いいの間違いでしょ!」
「え、可愛いじゃん
あんな後輩欲しいなー」
「紗羽ちゃん、まーくんは?」
「え?あっりんご!」
昼休み、お弁当を食べながらもふと呟いた一言にさっつんが食い付いてきたのだが、彼女とは意見が食い違った。
いや、確かにイケメンなんだけどね。
そんなやり取りをしていると誰かが乱入してきたかと思いきや、後ろから伸びてきた手によって食後のデザートであるりんごが奪われた。
声と喋り方でなんとなく誰かは想像出来たので、りんごを奪われたことへの怒りを込めてあえてスルーすることに。
「そんな怒りなさんな
これやるから許して?」
そう言うと彼には不釣り合いな可愛らしいチロルチョコを2つ机に置き、口癖らしい「プリッ」と言う一言を残して去って行った。
「彼は何しに来たんだ…?」
「いいなー、仁王くんが幼馴染みだなんて」
「…ん?今なんて?」
「いいなーって 」
「いや、何が?」
「だーかーら、仁王くんと幼馴染みの紗羽が羨ましいって!」
「………な、なんですとぉぉぉおお?!!」
「うるせーぞ八神っ!」
「いてっ……ごめん」
前野くんに叩かれた。