菓子本

□霧の泥舟
2ページ/4ページ

ショート3

ハロウィン馬鹿二人

「え?セブルス、ハロウィン知らないの?」

リーマスが意外そうに聞いた。

「知っているには知っているが、参加したことはない。馬鹿騒ぎは嫌いだからな」

セブルスが素っ気なく答えた。

「ふ〜ん」

ジェームズがセブルスの顔をじっと見た。

「教えてあげるよ。ハロウィンの起源を」

シリウスはその目が光ったのを見逃さなかった。

「ジェームズ、変なこと教えんなよ」

無駄だと思っていてもつい言ってしまう。

「OK♪」

ジェームズはウインクした。

「セブ、ハロウィンは恋人たちの日なんだ」

「ジェームズ、俺が注意してから2秒とたっていないが?」

ジェームズはあっさり無視した。

「起源はそうなってる(大嘘)愛を告白された者が、この日だけは愛を告白する者にされるがまま身を委ねる日なんだ。だからほら、卵を投げたっていいことになってるだろ?」

ジェームズの目は真剣だ。

「…確かに」

セブルスも興味深そうに聞いている。知識を得ようとするのが性らしい。

シリウスは哀れむようにセブルスを見た。
ジェームズが続ける。

「だから、真の、伝統を守る、誇り高き人々は、今でも、その習慣を守り続けている」

シリウスはあきれ果ててジェームズを見た。

ー…こいつは天性の策士だ、いや馬鹿だー

シリウスの隣で聞いていたリーマスが、真面目な顔でシリウスを見上げた。

「シリウス、あれ本当なの?」

シリウスが真顔で答えた。

「もちろんだリーマス。知らなかったのか?」


ハロウィン当日、がっちりと握手を交わすジェームズとシリウスがいた。









後日ー。

「ルーピン、復讐は蜜の味という…」

「へえ…なるほどね…」

セブルスとリーマスは杖を持って並んで立っていた。
目の前には罪人のように縄で縛られたジェームズとシリウスの姿があった。

「セブ〜〜!!」
「リーマス!」

二人は必死になって許しを求めている。

「ピーター!!」

ジェームズが側でおろおろしているピーターを呼びつけた。

「あ!てめッ!何、反対呪文集なんか持ってんだよ!!止めやがれ!!」

シリウスが怒鳴る。

「ぺティグリュー、そこにいろ。貴様まで呪いを被ったら、治す奴がいなくなるからな…」

セブルスが口元に笑みを浮かべた。
リーマスも黒い笑みを浮かべている。

のどかな午後、情けない叫び声がこだました。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ