続・菓子本

□ラブレターバード
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誰かを想う気持ち。
誰かを想った記憶。
想いははばたき、大切な人へ届く。
そんな……。



鳥が飛んでいる。
純白の小さな体はレモンのように膨らみ、体に対して大きめの翼は開いたままになっている。

鳥は紙飛行機のように緩やかに城の中を滑空する。

青く透き通るつぶらな瞳は、行き交う生徒や、教師といった、生きた人間だけを順々に追い、何かを探していた。






















「セブルス!セブ!」


教室中に慌ただしくそんな声が響いた。
授業を終え、他生徒がぞろぞろと教室後ろのドアへと歩いている。



「セブルス!…待ってってばっ!セブルス!」



びくり、その一団の中に紛れ込もうとしていた一人が大袈裟にびくついた。
黒髪の小柄な彼は、恐る恐る後ろを振り返る。

にんまり、と大層な笑みを浮かべた相手を視界に収め、彼―セブルス・スネイプは一瞬で顔面蒼白になった。



「あ、セブルス!!」



慌てて逃げようとしたセブルスの腕を、大声で呼んでいた相手―ジェームズ・ポッターがしっかりと掴む。



「もー、なんで逃げるんだよ!」
「はなせ、バカ!はなせ!」
「セブー、久しぶりに会えたのにそりゃないよ〜」
「うるさい、久しぶりもくそもあるか。貴様なんか一生顔も見たくな…」
「ねぇねぇ、せっかくだし二人っきりになろうよ〜」
「人の話を聞けー!!」



じたばたと暴れるセブルスと、それを余裕綽々に捕まえ微笑むジェームズ。
その他大勢皆ため息をつくほど、いつもの光景である。
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