続・菓子本

□きらきら☆
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「たとえばセブ島でバカンス」

「却下」


雲一つない青空の下で、ジェームズとセブルスは湖の畔に座っていた。

二人の間には、ドラム缶を倒したぐらいの巨大な青虫が口をもごもご動かしている。
真ん丸の真っ黒な目がジェームズを見上げた。

「白い砂浜にどこまでも透き通る海、浜辺には僕達二人」

ジェームズは右隣に山積みになったレタスの葉を一枚取ると、左脇にいる巨大な青虫の口に放り込んだ。

青虫はまた口をもごもごと動かし、左にいるセブルスを見上げた。

「何で貴様と二人でそんな場所に行かなければならないんだ?」

セブルスは左脇に置いたレタスの山から葉を一枚手に持つと、丁寧に四つ折りにして青虫の口に入れた。

青虫が嬉しそうに口を動かした。セブルスはその顔がどことなくハムスターのような、草食動物に似ていると思った。

「何でって、君と二人でどこか行きたいなあって…」

ジェームズは口を尖らせ、青虫に寄り掛かった。
表皮が薄いらしく、ゼリーのようにぷるぷるしている。
胸元あたりから背中にかけて大きなピンク色のリボンがかけられ、時折風にひらひらと舞った。


「そうだな…」

青虫が期待のこもった目でセブルスを見上げた。

セブルスはレタスを二枚重ね、四つ折りにすると、青虫の口に持っていった。

ジェームズは青虫の体に顔をつけている。

「すごいよ…セブ…中身が見える…」

セブルスは思わずくすくす笑った。

「レタスが出るところまで見るつもりか?」

セブルスの指摘にジェームズが顔を離した。

湖で魚が跳ねた。

「やっぱり海がいいよ」

ジェームズはきらきらと光る湖に目を細めた。

「波、波が見たい」

レタスを手に取り、振ってみせる。
青虫の丸い目が物欲しげにそれを追い、ぷるぷると体を揺らした。

「あとね、水平線」

青虫の口にレタスを放り込み、背伸びをした。

「そうだな…海は見たいな…」

セブルスは青虫が食べこぼしたレタスの欠けらを拾い、新しい葉にそれを包むと、小さな口にゆっくり入れた。
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