菓子本

□トリックスター
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「セブルス何作ってんの?」

ジェームズがセブルスの背中越しに手元を覗き込んだ。

「ああ、閉心薬だ」

「閉心薬?閉心術じゃなくて?」

「そうだ、閉心術は訓練と個人差がある。だったら、飲めば誰もが使えるものにしたら良いんじゃないかと思ってな。真実薬があるくらいだ、その逆がないのはおかしい」

「ふ〜ん、で、実験なんだ」

「安心しろこれは僕が飲む。幸い失敗しても人体に影響のないものばかりだ」

「君って意外と実践派なんだね、もっと理論派かと思ったけど」

「それは誉めているのか?けなしているのか?」

セブルスはムッとしながら言った。

「愛してる」

ジェームズがにっこり笑った。
セブルスが大きなため息をつく。

「セブは?」

「何がだ?」

「愛してるって言って!」

「……」

セブルスはまた大きなため息をついた。

「お前は万年開心状態だな、成功したら、飲ませてやる!」


「どこ行くの?」

「授業だ!」

「僕は次は入ってないや〜一緒に行こうかな?」

「来るな!」

「は〜い」

必要の部屋から出ていくセブルスを見送った後、ジェームズは待ってましたとばかりに机に近付いた。

「ふ〜ん…」

細かく書き記された羊皮紙を見つめ、薬品を調べる。

「なるほど…するとこの順番を替えればいいわけだ…」

ジェームズは瓶を手に取り、調合中の小さな鍋に数滴垂らした。色も匂いも変わらないことにほっとし、ほくそ笑む。

セブルスが秀才ならジェームズは天才である。

“開心薬”ができあがった。
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