菓子本

□迷える黒羊
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シリウスは悪態を吐きながら、教室で補習課題に縛られていた。

教室の隅、シリウスとほぼ対角線上、最も遠い場所にセブルスが座っている。

教室には二人だけだった。
シリウスは嫌いな科目は全く勉強しない。リーマスに叱られるが、嫌いなものは嫌いでそれは直らない。その挙句、呼び出し付きの補習である。

それにしても…シリウスはセブルスの背中を憎らしそうに睨んだ。

ー…なんであいつもいるんだ?ー

甚だ面白くない。
ジェームズはクィディッチの練習に行き、リーマスはポンフリーに呼ばれて行ってしまった。
シリウスは一刻も早く同じ空間から出るために、ムキになって書き取りを進めた。

セブルスは重々しそうに手を動かしていた。
吐く息が熱く、瞼も熱い。

自分に熱があるのは朝から分かっていた。
グリフィンドールとの合同授業がなくてよかったと胸を撫で下ろした。
ジェームズに心配をかけたくなかったし、何より大切なクィディッチの前に風邪を移したくなかった。

しかし、高熱でぼやけたまま魔法薬の授業で鍋をひっくり返すという失敗をしてしまった。
案の定、片付けと居残りである。
セブルスは教室の隅にいるシリウスの気配を感じながら、顔をしかめた。

すぐにでも出て行きたかった。こんな状態で絡まれたら、敵うはずがない。

シリウスが書き取りを終え、勢いよく立ち上がった。
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