菓子本

□霧の泥舟
3ページ/4ページ

ショート2

黒猫とタンゴ

「セブルスのせいだよ!」

ジェームズがセブルスの前に座って詰め寄った。

「…何がだ?」

本から目を上げずにセブルスが答えた。

「ダンスパーティーで誰もゲットできない」

ー…ゲットしようとしていたのか…。

「おまけにみんな、僕とセブルスが踊るのを期待している」

ー…なんて迷惑な…。

セブルスが本から目を上げてジェームズを見た。

「断る」

「え?まだ何も言ってないよ」

「言わなくても分かる」

セブルスはまた本に目を落とした。立ち去りたいが、これから合同授業とあっては教室を出てゆくのもままならない。

「セ〜ブ♪僕と踊ろ?」

ジェームズがにっこりと言った。

セブルスの眉が上がった。

「ポッター殿、ダンスパーティというものは、男女礼装で然るべきもの。あいにく僕は男だ。男二人がダンスをするのは礼儀に反する」

ジェームズは諦めない。

「大丈夫、君用のドレスを用意した」

セブルスはとっくにそう来ると思っていたらしく「じゃあ、貴様が着るんだな」と言い、軽く受け流した。

ジェームズの目が光った。

「うん、そうする!そうしたら踊ってくれるってことだね!」

セブルスは唖然としてジェームズを見た。そばでやりとりを聞いていたシリウスとリーマスがびっくり仰天した。

「ジェームズ!頼む!やめてくれ!!」

シリウスが必死で止める。リーマスも珍しく真っ青になっていた。

「そうだよジェームズ!!僕は見たくないよ!!」

ジェームズは不敵な笑みを浮かべた。

「グリフィンドールは勇気ある者が集う組だ」

「違うから、それ勇気の使い方違うから!!」

リーマスが必死になる。

「スネイプ!頼む、お前が着てくれ!!」

シリウスが叫んだ。

ジェームズは心の中でほくそ笑んだ。

セブルスはめまいを抑えるようにうなだれている。

二人に懇願されるセブルスをピーターだけが哀れむように見つめていた。











終わります。
セブルスに用意されたドレスは黒いマーメイド裾のドレス希望。
ジェームズは見せびらかしたい性格なので、何が何でもセブルスとダンスをするようです。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ