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□【麗らかな午後】
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カチャ
手元の書類を見ながらドアを開ける。
「デイビッド、旦那様のオヤツの事で……」
セバスチャンは顔を上げ、気付いた。
「……珍しいな」
【麗らかな午後】
用事があって厨房を訪れたセバスチャンだったが、その厨房の主であるデイビッドは寝ていた。
椅子に座り、腕を組んだ状態で。
「……」
パタン
セバスチャンはしばしその場に立っていたが、デイビッドを起こさぬ様、静かに扉を閉め、出て行った。
カチャ
パタン
セバスチャンは、今度は手に何かを持ってやって来た。
ファサッ
セバスチャンは気遣う様に、優しい手つきでデイビッドに毛布を掛けてやった。
─風邪でもひかれたら、困るしな。
そして、自分も近くの椅子に座り、そこで仕事を始める。
誰にも邪魔されない、静かで穏やかな時間。
─偶にはこんな時間が合っても良いな。
セバスチャンはデイビッドの寝顔を見つめながら思う。
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