SHORT

□気持ちの伝わる3秒前
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赤也「雪先輩!いい加減教えてくださいよー。」


部活が終わった後、赤也は今日もしつこく付きまとってくる。

私は、こんなにオマエのこと考えて悩んでるのにさ!

精市のいう通り、赤也はバカなのかもしれない。

…いやバカだ。

バカじゃなかったら、今頃私の好きな人くらい悟ってるさ。

精市が言うに、私、結構分かりやすいらしいしね。

それにこないだの英語のテスト、また赤点だったらしいしね!


赤也「雪せんぱーい…聴いてます?」


雪「一応聴いてますよー。」


赤也「なんで教えてくれないんすかー?ヒントだけでもいいですから!ね?」


オマエだよバーカ!って思わず叫びたくなったけど、何とかそこは我慢した。

それにしてもヒントねぇ…。

コイツがバカなのを利用して、ヒントでも出してやろうかっとか思っちゃった私は赤也よりバカなのかもしれない。

赤也だって調べれば分かるだろうに。


雪「ヒント、か…。うん、それくらい出してあげるよ。」


でもこう言っちゃった以上、ヒントを出さないわけにいかない。


私はバッグからペンとメモ帳を取り出し、

『私が好きなのは和布野郎だ、バカ赤也!』

っと書いて、赤也に渡した。


和布…これって“ワカメ”って読むんだよ、うん。

国語が得意科目でよかったと切実に思った。


赤也「わ…わぬのやろう?誰だそれ。」


やっぱり赤也は読めない。


雪「これが読めるようになったら出直してきなさい、バカ赤也!」


赤也「クソ…あ、柳先輩にでも聞いてこよう!まだ部室に残ってたよな!」


赤也はそういうと、部室の方へものすごい勢いで走っていった。


雪「え、ちょっと赤也…って行っちゃったι」


あの勢いじゃ、ここから部室まで3分もあれば着くだろう。

ってことは、早く家に帰らないと、家に着く前に赤也が私のとこに戻ってくる…

それだけは勘弁してくれ!


私は走って家を目指す。

絶対、赤也のことが好きなのバレたよね…。

きっと今、私の顔は真っ赤だ。

こうしてる間にも、赤也は部室に着いたんだろう。



その3秒後、赤也が雪の気持ちに気付いたのは、言うまでもない。






(赤也、大好きだよ。)



END

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