SHORT
□本音を殺して
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雪「リョーマくん、早いね。」
リョーマ「雪先輩こそ。」
いつもより早く放課後当番に来た俺に、声をかける雪先輩。
雪「はーぁ。リョーマくんと同じクラスだったらなー。」
リョーマ「え…?」
雪「わざわざ、こうやって、早く当番に来なくたって、いっぱい話せるじゃない?」
リョーマ「先輩、それって…。」
もしかして、今、一番聞きたくない言葉を聞かなくちゃいけない?
雪「んー、まぁ、そういうことよ。」
雪先輩は、少し赤くなって微笑む。
本当なら、今すぐに抱きしめたい。
雪先輩に好かれていると自惚れていたい。
けれど、素直にいかないのは、きっと…
リョーマ(あぁ、俺が裏切り者にならなきゃいけないからなんだ。)
だからもう、これ以上の言葉は聞きたくなかったのに。
雪「ねぇ、リョーマくん。私、リョーマくんのこと好きなんだ。」
先輩の言葉は、今の俺には残酷すぎた。
リョーマ(俺は、雪先輩か桃先輩か、どっちかを裏切らなきゃいけないのか…。)
大切な先輩、大好きな人。
俺は、どっちを裏切るべきなんだろう――…
『本音を殺して』
リョーマ(俺は――…。)
END
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