BIRTHDAY

□HAPPY BIRTHDAY!!
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今日は大好きな幼馴染の誕生日だ。

同じく幼馴染のジローと岳人と3人で、彼のサプライズプレゼントを用意して、芽衣の家で彼の誕生日パーティーをする事になった。

中学に入って最初の誕生日。

部活に明け暮れる日々を送る彼らにとっては貴重な休日を一緒に過ごす程には、彼ら4人は仲が良かった。



「ジロー!そっちはどう?」

「バッチリだC!亮ちゃん喜んでくれるかな?」

「ぜってぇ喜ぶって!」



テーブルには彼の大好きなお菓子や、カラフルな食器。

目にも楽しいそのパーティー会場に、彼は何時ものように玄関のチャイムを鳴らしてやってきた。



「はーい!いらっしゃい!」

「よっ、芽衣。」

「上がって上がって!」


いつもよりテンションの昂ぶる彼女の姿に、彼、宍戸亮も薄々勘付いていたのかもしれないが、何も言わずにリビングの扉を開いた。

その瞬間、発砲音と共に広がる色鮮やかな世界。

ヒラヒラと舞う彩り豊かな紙達は、何処か花弁のようでもあった。



“ハッピーバースデー!”



3人の声が響いて、彼の驚いた様な表情は、段々と笑顔へ移り変わった。


ーーやっぱり、大好き。


この4人の関係が、いつまでも変わらない事を祈るばかりだった。






ーーーー芽衣?


声をかけられて現実世界に引き戻された。


「どうしたんだ、ぼーっとして」

「ちょっと、思い出に浸ってたのよ。」

「はぁ…」


呆れ顔の彼は、あの頃よりも大分男らしい。
そして、芽衣よりも長かった髪もばっさりと短くなっている。

そして、あの時に3人でお金を出し合ってプレゼントした青のキャップを被っていた。



「ねぇ、亮。」

「ん?どうした。」

「大好きだよ。」

「お、お前なぁ…」



にっこりと微笑めば、彼は頬どころか耳まで赤く染めた。

こんなところで言うなよ、そう小さく呟きながら彼女の手をひいて歩き始めた。


「今年も、一緒に過ごせてよかった。」

「ああ、そうだな。」


先程より、強く握り直されたその手から彼の思いが伝わる。


「おーい!亮ちゃん!芽衣!」

「遅えぞ!」


遠くに見える赤と黄色の頭。
2人はこちらに向かって手を振っている。


「ごめんごめーん!」


芽衣が手を振り返すと同時に、小さく呟かれた名前。

横を見れば、笑顔の彼。


「俺も、大好きだぜ。」


久々に聞いた素直な彼な気持ちに足取りが軽くなる。


15回目の誕生日も、その先も。
ずっと彼の笑顔を近くで見ていきたいと心から思った瞬間だった。


ラケットバッグを背負い直し、スコートを翻す秋風に乗って。
芽衣は宍戸の腕を引く様に、残る2人の幼馴染の元へと駆け出した。





HAPPY BIRTHDAY RYO






 
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