SHORT
□気持ちの伝わる3秒前
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「え?雪先輩って好きな人いるんすか?!」
そんな赤也の一言から、私の悪夢は始まった…。
『気持ちの伝わる3秒前』
それは、私と精市が部室で話をしていたときだった。
幸村「…にしても、雪の趣味、どうかと思うなー。」
雪「別にいいでしょー。」
幸村「あのバカのどこがいいの?」
雪「精市、それ言いすぎでしょιそれに、私が誰を好きになろうと精市には関係ないでしょ!」
“ガチャッ”
赤也「え?雪先輩って好きな人いるんすか?!」
雪「あ…赤也?」
急に部室のドアを開けて入ってきたのは、私が絶賛片思い中の赤也で…
私と精市は、赤也の話をしていたわけだから、ものすごくビックリなわけ。
赤也「先輩の好きな人って誰っスか?教えてくださいよっ!」
雪「え、えっ?!お、教えるわけないでしょ?!」
考えれば、これが悪夢のはじまりだった。
このとき、適当に誰かの名前挙げるとか、好きな人なんていないってウソをついておけばよかった。
この日から赤也は毎日私に付きまとうようになった。
休み時間のたびに、私のクラスに顔を出すようになったし、部活のときも必要以上に一緒にいるようになった。
私は赤也のことが好きだから、嬉しいような、なんとも複雑な気持ち。
このまま、教えなければ、一緒にいれるし、それはそれでいいかなーって思ったりもした。
けど、ふとこんな考えが頭をよぎった。
赤也は、私のこと別になんとも思ってないから、私の好きな人をこんなにしつこく聞いてくるんだ…。
そう思った瞬間、なんとも言えない、悲しい感情が心をいっぱいにした。