SHORT
□Red
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「笹原、オマエはまた赤点か。」
化学の先生が、こないだの小テストを返しながらそういう。
思えばこの赤点が、私の運命を変えたのかもしれない――…
『Red』
雪「え、またって…」
「50点満点中18点。立派な赤点だぞ。」
またか…っと思わず溜息を吐いた。
「オマエ、他の教科は成績優秀なのに、なんで化学だけ…。俺に何か恨みでもあるのか?」
雪「いや、ないですから。」
単純に化学だけが極端に苦手。
いつも赤点か、赤点すれすれ。
提出物(主にレポート)で、点を稼いでいて、ギリギリ成績は3だけど。
「オマエ、これ以上赤点とると、受験にひびくぞー。」
笹原「え?!それは困ります!!」
私だって受験生だ。
通知表に2があると、嫌がられるのはわかってる。
せめて3が欲しい。
「それじゃー…あ、白石!オマエ、化学得意だし、笹原に教えてやれ。放課後にでもよ。」
“白石”その名前に一瞬、鼓動が止まった。
白石くんは私の片思い相手。
その白石くんに化学を教えてもらう?
…そんなの無理に決まっている。
心臓が絶対にもたない。
白石「俺か?まぁええで。笹原さん、今日の放課後、ここでやるで。」
雪「あ、う、うんっ!よろしく!」
…結局教えてもらうことになってしまった。
嬉しいけど…
絶対、勉強どころじゃないよね。