Sweets!!
□フライングサマーバレンタイン
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優梨「今日は…というか、昨日もですけど、色々とありがとうございました。」
丸井「気にすんなよ!俺がしたくてしたことだからな。」
優梨「先輩、優しいですね。」
丸井「そんな事ねぇって。じゃ、また明日な。」
優梨「はい!また明日!」
丸井「おうよ!」
結局家まで送ってくれたブン太先輩に大きく手を振れば、笑顔で手を振り返してくれる。
薄暗くなっている中、先輩の鮮やかな赤の髪はよく目立つ。
そんな、先輩の明るい性格を表したような髪色が好きだな、なんて思ったり。
あ、私思ってたより結構先輩の事好きなのかも。
優梨「そうだ!」
先輩に色々貰ってばっかりだし、お返しをしよう。
そして、あわよくば私の気持ちを伝えられたら、なんて思ってみたり。
帰宅すると同時に自分の部屋まで直行。
優梨「先輩、何が好きかな〜?」
ふんふん、と調子に乗って鼻唄混じりに開いた女子向けの雑誌。
たしか、簡単で美味しいお菓子のレシピが載っていた気がする。
机に置いてある、瓶入りのカラフルなキャンディを一粒口に放り込めば、それは林檎味で。
なんとなく先輩を彷彿させて気持ちが昂ぶった。
優梨「あ、これ美味しそぉ〜」
ふと開いたページには見ているだけで涎が垂れてきそうな程の甘味の数々。
チョコレートケーキ、トリュフ、クッキー、フォンダンショコラ。
開いた雑誌は2月号で、それがバレンタイン特集なんて事にはこの時には気付かずに、その中の一つであるガトーショコラを作ろうと銘打った。
優梨「よぉーし、頑張るぞ自分!」
思い立ったら吉日とは正にこの事。
レシピを携帯の写真に収めて、着替えもそこそこに家を飛び出した。
優梨「お母さん!ちょっとスーパー行って来るね!」
母「あんまり遅くならないでね?」
優梨「はーい!」
最寄りのスーパーまで、再び鼻唄を響かせて街頭の灯る道を歩いて行った。