ハツコイ。

□Act.7 信頼 ―TRUST―
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引き寄せられた腕から、妙な安心感。

この人は一体…?



Act. 




「お前に危害を加えるつもりはねぇ。アイツらから逃げてるんだろ?」


するとすぐ近くに先程の集団。

私は大人しく声の主に従う事にした。

「畜生、どこ行きやがったんだ。」

「あのアマ…!」


暫くして男の人達は離れて行った。

すると私を引き寄せていた腕が緩んだ。


「すまねぇな手荒な事して。」

穂香「いえ、ありがとうございました。」


振り返ってお礼をしようとしたら、まさかの顔がそこにはあった。


穂香「あ、跡部会長…っ?!」

跡部「あぁ、だったらなんだ?」

穂香「い、いえ!ご迷惑をおかけしました!」

跡部「…お前、何があった。」

穂香「いや…何も…」

跡部様「何もって格好じゃない様な気がするんだがな…?」

穂香「……っ」


そういえばそうだった。

とても恥ずかしい格好をしていたことを忘れかけていた。


跡部「とりあえずそんな格好じゃ帰れねぇだろ。ちょっとついてこい。」

穂香「はっ、はい!」


半ば強制的に生徒会室に連れていかれた。

移動の間はなるべく人目につかないルートで、しかも私を庇う様に歩いてくれて、跡部会長は優しい人なんだなぁと思った。


跡部「そこのロッカーに予備の女物の制服が入ってる。サイズがわからねぇから自分で選ぶんだな。

で、奥の部屋で着替えてこい。話はそれからだ。」

穂香「ありがとうございます。」


奥の部屋は会長室だ。

本当に入っていいのかドキドキしていると、跡部会長は『見られて困るものはねぇ。遠慮せずに着替えてこい。』と心をを読んだかのように声をかけてくれた。

会長室にはさっきと同じ、甘く、でも高貴な香水の香りがほんのりした。

あまりジロジロみるのも悪いと思い、好意に甘えて着替えはじめた。

正直この格好では帰ることもできないから助かったなぁ。

ボタンが取り除かれ、安易に着脱できるようになったブラウスを脱ごうとしたら激痛が走った。

ーー右肩だ。

さっきまで必死で気にならなかったけど、気付いてみれば動かす度に痛みが走った。

そっとブラウスを脱いでみると、右肩は青紫色に腫れ上がっていた。

穂香(真面目にヤバイかもな…選手生命。)


思わず涙を浮かべ鼻をすする。




 
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