ハツコイ。
□Act.6 危機 ―CRISIS―
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私は一体どうなるの…?
Act.6 危機 ―CRISIS―
ズキズキと痛む右肩と首の感覚に目が覚めた。
穂香(ここは…?)
薄暗い部屋。
おおよそ体育倉庫か何かだろう。
気付くと両手首を縛られていて、幸いどこかに括り付けてあるわけではないけれど、充分に自由が奪われていた。
「あら、お目覚めかしら穂香チャン」
穂香「貴方は…」
栗色の綺麗な髪。
間違いない、この前呼び出した主犯者だ。
穂香「…今度は何の用よ。」
思わず睨みつける。
「アンタのせいで日吉にバレちゃったじゃないの。」
そういうと私の方に近づいてくる。
「その落とし前ってやつよ。」
そして、座っている私の右肩を思い切り蹴りつけてきた。
穂香「痛っ…!!」
さっき殴られた痛みの上から更なる痛みが襲う。
「だーいすきなバドミントン、出来なくなっちゃうかもね。」
穂香「っ…!」
「あとね、日吉にね…アンタのこと助けなきゃ良かったって思わせてあげようかなぁ?って思ってるのよ。」
穂香「日吉くんは関係ないでしょ…!!」
「アンタ馬鹿なの?関係あるに決まってるじゃない。」
穂香「なんでよ!日吉くんを巻き込まないで!」
「アンタが勝手に巻き込んだんじゃない?」
そういうとまた右肩を蹴飛ばしてきた。
「これからアンタは襲われるの、ここにいる男達にね。」
穂香「?!」
痛みで声が出ないけれど、とてつもない恐怖に襲われた。
「殴る蹴るだけじゃ面白くないわよね…だから大人しく犯されてね?」
不敵な笑みを浮かべ私を見下してくる。
穂香「なっ…」
「ふふっ、それでね…その複数人に襲われているところの写真を日吉にプレゼントして上げようかなって。
こんなビッチ助けなくてよかったのよってね。」
穂香「最低ね…貴方。」
「日吉はテニス部じゃない?万が一跡部様の耳に入ったら困るじゃないの。だからそれくらいされて当然よ?」
跡部様…跡部会長の事か。
この氷帝学園イチの権力者といっても過言ではない。
日吉くんはもしかしてこれを心配してくれていたのかもしれない…。
「まっ、そういう事だから大人しくしてなさいよ?」
そう言い放って、コレが最後と言わんばかりに右肩を踏み躙るように痛みつけて離れて行った。
そして背後にいた男の人に
『後は任せるから…いい写真待ってるわよ』
と言って、部屋を後にした。
一瞬、ドアから見えた外の世界はとても眩しかったーー…